琥珀色のウイスキーと高級時計は、それだけで一枚の絵になります。
高級時計が似合う大人のメンズは、ウイスキーにも造詣が深くなくてはなりませんよね。
自他ともに認める時計オタクの大黒屋査定員、瀧。
そんな彼はウイスキーについてもマニア級の知識を持ちます。
今回は、ウイスキーを趣味にしたいという人のために、
時計好きにオススメのウイスキー、バーでの注文時のポイントについて紹介していきたいと思います。
― そもそもウイスキーにはまったきっかけは?
あるお客様から、「男は30歳を過ぎたらウイスキーくらい知っておかなくちゃ」と言われたことがきっかけです。
そのお客様は時計好きの作家さん。
だまされたと思ってウイスキーを飲みはじめたら、まんまとはまってしまって(笑)
今では自宅の棚いっぱいにウイスキーが並んでいますよ。
ウイスキーにハマるうちに、「時計とウイスキーって似ているな…」と思いはじめたんです。
― 時計とウイスキーが似ている・・・とは、どういうことですか?!
ウイスキーは大きく分けると、シングルモルトとブレンデッドという2つの種類があります。
※シングルモルトとは?
大麦の麦芽(モルト)のみで作られているウイスキー。ウイスキー本来の味が楽しめるが、価格は高め。
※ブレンデッドとは?
トウモロコシなどを混ぜて飲みやすくした、比較的安価なウイスキー。
シングルモルトは、ロレックスに代表されるような機械式時計と似ていると思うんです。
※機械式時計とは?
ゼンマイで動く、昔ながらの時計。「チチチ」と音がするもの。いわゆる高級時計と呼ばれるものの多くは機械式時計にあたる。
シングルモルトは値段が高く、飲みやすさにおいてはブレンデッドに劣りますが、ウイスキー本来の味を楽しむことができます。
ロレックスのような機械式時計も、値段が高く、リューズを巻く手間がかかりますが、こだわりの詰まった時計の王道です。
機械式の高級時計が好きな人はシングルモルトにハマると思うんですよね。
一方、実用性重視で物事を合理的に考える人は、ウイスキーはブレンデッド、時計はクォーツ時計で十分と考えるかもしれませんね。
※クォーツ時計とは?
電池と電子回路で動く時計。値段は安いものの、寿命は機械式時計に劣る。
― 本格ウイスキーのシングルモルト、味を理解するのが難しそうですね?
シングルモルトウイスキーは、どの銘柄も麦芽でできています。
ただし、製法が違うので、色々な味の違いが出るのです。
機械式時計も、同じような部品から作られていますが、それぞれ違った持ち味があります。
今回は、ウイスキー初心者にもわかりやすいように(?)、ウイスキーの特徴を有名時計ブランドに例えてみたいと思います。
初心者が飲みやすいと思われる順に、ご紹介していきましょう。
― オメガとグレンフィディックの共通点とは?
高級時計に興味を持ち出した初心者に人気なのがオメガ。
無難なデザイン、高すぎない価格のため、ビギナー向きの高級時計です。
同じように「ウイスキーをはじめてみようかな」という人にオススメなのが、グレンフィディック。
シングルモルトのなかでは2400円~2500円の低価格で、コンビニやスーパーでも売っています。
クセがなく飲みやすいので、ウイスキーの味がまだよくわからないという人にもピッタリです。
※グレンフィディック
1887年にスコットランドで誕生した歴史の古いシングルモルト。日本ではサントリーが販売。
18年もので5000円前後、50年ものなら200万円以上の値がつくこともある。
― グレンフィディックはどんな味?
青リンゴのようにさわやかで、フルーティな甘さが特徴です。
グレンフィディック12年ものは、年を重ねるごとに美味しくなっている、味が進化しているという評判ですね。
ただし、クセがなく、ジュースのように飲めてしまうので、もの足りなさを感じる人もいるかもしれません。
― 初心者がグレンフィディックを楽しむなら?
日常的に飲めるウイスキーなので、本格的なバーには置いてないこともあるでしょう。
プロントのような庶民的なカフェバーで楽しむことをオススメします。
手頃な12年ものを購入して、家飲みからはじめてみるのもいいかもしれません。
ハイボール(炭酸割り)で十分楽しめます。
― ロレックスとマッカランの共通点とは?
王道という意味で共通しています。
王道と言えば、時計ならロレックス、車ならベンツですよね。
ウイスキーの王道はマッカランです。
王道というのは、万人に愛されるからこそ王道と呼ばれるんだと思います。
たとえば、ロレックスユーザーには普通のサラリーマンもいれば、裕福な経営者もいますね。
マッカランも同じように、カジュアルなバーでも飲めるし、帝国ホテルのような一流のバーでも飲めるんです。
普通の人がちょっと背伸びすれば手が届く。ただし、それなりの品位を兼ね備えている。
これはロレックスにも、マッカランにも共通しています。
※マッカラン
1824年スコットランドで生まれた、シングルモルトウイスキーの王道中の王道と言われる存在。ボトルの12年ものなら5000円前後。寝かせた期間が長いほど高額になり、64年物だと3000万円にもなることがある。
― マッカランはどんな味ですか?
クセがなく、水のようにサラっとして飲みやすいウイスキーです。
あまりの飲みやすさに、ついつい飲みすぎてしまうことも。
ただし、グレンフィディックほど優しい味ではありません。
麦本来のウイスキーらしい味がします。
初心者はキツいと感じる人もいるかもしれません。
― 初心者がマッカランを楽しむなら?
ウイスキー専門店で、置いていないお店はまずありません。
先ほども言ったように、庶民的なバーでも、高級なバーでも飲むことができます。
マッカランのなかでは、シェリーオーク(シェリー酒を熟成させた樽で寝かせた)の12年ものが有名です。
初心者がバーで注文するときは、「マッカランの12年」と言っておけば、恥をかくことはないでしょう。
12年物ならば、ハイボールで楽しむのもアリです。
しかし、それよりも古い物はロックやストレートで香りを楽しまないと、素人と思われてしまうかもしれません。
― ボウモアとパネライの共通点とは?
実は、ボウモアは私がイチオシのウイスキー。
ボウモアもパネライも、私のようなうんちく好きの男には、たまらない存在なんですよ!
ボウモアはスコットランドのアイラ島にある海岸の名前で、潮風の当たる海岸に樽を寝かせて作られたウイスキー。
パネライは、もともとコンパスや深度計といった軍事用品を製造するイタリア企業から生まれた時計ブランドです。
どちらも製造背景にストーリーがあり、それがまたファンを惹きつけるんでしょう。
こうした背景が付加価値となっているのですね。
※ボウモア
1779年にスコットランドで誕生。現在はサントリーがオーナーとなっている。18年ものは1万円前後、25年物は4~5万円と、寝かせた年数によって大きく価格が異なる。
― ボウモアはどんな味でしょうか?
ものすごくクセがあります。たとえるなら正露丸のような味…(笑)。
海岸に寝かせられていたので、ほんのり塩味も。
一度ハマるとやみつきになる味ですが、苦手な人は受け付けないでしょう。
非常に好みの分かれるウイスキーです。
― 初心者がボウモアを楽しむなら?
ウイスキー専門店なら、どこでも置いています。
ロックやストレートでシンプルに飲むのがオススメですね。
口に含むと、2度目、3度目は味が変化しますから、ゆっくりと味わってみてください。
ボトルを購入すれば、3000円台(12年物)から手に入ります。
私はボウモアを飲みながら、パネライがどうやって軍事機器から時計を誕生させていったかについて語りたいですね~(笑)。
入門者が本格ウイスキーを知りたいなら、日本産のジャパニーズウイスキーも試してみてください。
実は、山崎や竹鶴をはじめとしたジャパニーズウイスキーは、イギリスで開かれる世界的なウイスキーの品評会で上位を独占しているんです!
ジャパニーズウイスキーの美味しさは世界が認めています。
その中でも、初心者におススメの2銘柄をご紹介しましょう。
ウイスキーのツンとした味が苦手という方は、ぜひ知多を試してください。
「甘さ」を売りにするウイスキーは多いですが、知多は舌で転がすと、本当に甘みを感じることができます。氷を入れずにストレートで飲むと、確かな甘さが舌に残ります。
「響 17年」はブレンデットウイスキー。飲みやすさを追求し、30種類ものお酒をブレンドして作っているので、とにかく美味しいです。
ボトルの相場は1本1万円ですが、バーで楽しむなら一杯2,000円ほどで楽しむことができます。
ストレートで飲むと甘さ・渋さといった数種類の味覚をダイレクトに堪能でき、ロックで飲めば、さわやかな後味を感じることができるでしょう。
― ウイスキーの味は初心者でもわかるのでしょうか?
ウイスキーの味や香りの違いは、ワインよりずっとわかりやすいと思います。
紹介したように、シェリー酒(果実酒)を作った樽で寝かせたウイスキーはフルーティーな味。
ボウモアのように、海辺で潮風にさらされながら熟成したウイスキーは、ほんのり潮の香りがします。
同じシングルモルトであっても、製法によって大きく味や香りが違うので、初心者にもわかりやすいでしょう。
― 高いウイスキーのほうが美味しいのでしょうか?
ウイスキーは、値段が高ければ美味しいとは限りません。
銘柄によって味の方向性が違うので、自分の好みの1本を見つけ出して、楽しめばいいと思います。
私の場合は、ボウモアを好きになってから、ボウモアばかり飲んでいますよ(笑)。
― 最後に、これからウイスキーをたしなみたいという人に一言。
ウイスキーを楽しむようになってから、ただ酔えればいいというのではなく、一口ひとくちを大事に飲むようになりました。
これは時計の楽しみ方と、すごくよく似ていると思います。
時間さえがわかればいいのではなく、時計のムーブメントや製造方法など、すべてが愛おしく感じてしまうのです。
ウイスキーを飲む時間は、大人の男だけがわかる、極上のひとときです。
高級時計が好きな人には、ぜひウイスキーの楽しみも知っていて欲しいと思います。
いかがでしたか?
時計とウイスキー、まだまだ2つの世界には共通点がありそうです。
どんなウイスキーを選べばよいのかわからない、バーに行っても何を話せば良いのかわからない、そんな人もお気軽に大黒屋へご相談ください!