「時計売却のベストなタイミングを知りたい・・・」
「デイトナの価格はどんな時に上がるのか・・・」
「どのモデルが今一番の買いなんだろう・・・」
時計に限らず投資は売却のタイミングが難しいもの。
だからこそ、早め早めで売却をしようとしがちですが、とくに時計の場合、実は安全策を取る人ほど損をしている現実があります。
しかし、こと時計については、価格変動の知識をしっかりつければ、ベストな売却のタイミングを選べると私は断言できます。
今、ロレックスは異常な値上がりをしている状況なので、
「今(2021年7月)は、まさにロレックスの価格が急上昇している最終局面かもしれない・・・」
そう思い、多くの方が今がまさに手放す絶好の好機と考えているかもしれません。
ただ、ちょっとお待ちください。
実は、ロレックスの価格変動には実はいろんなタイプがあり、それぞれの価格が高騰するタイミングにも個性があります。
今回はデイトナを取り上げますが、デイトナがどのように価格変動するのか、その『型』を知れば、どのタイミングで売買を行うことがふさわしいかがよくわかるようになるはずです。
ということで、この記事ではロレックスのデイトナを例に、価格が上昇するタイプを5つに分けて解説していきます。
倉田:大学生の時からロレックスを所持するほど時計好き。
筋トレが趣味。
堀井:20代のころにリサイクルショップでのバイト経験あり。
どんな品物でも対応できる万能査定員。
堀井
コロナは世界と日本を一変させましたね。
倉田
そうだね。我々のようなブランド買取りの業界でも、コロナの影響は大きい。
とくに大きな影響を受けたのはロレックスの急激な価格変動だ。とんでもない爆上がりをしているんだよね。
堀井
いったいロレックスの価格は今どうなっているんでしょうか。
倉田
ロレックス市場の全体的な価格変動の概況を、グラフで表したものを見てみよう。
倉田
こちらのグラフは2019年3月ごろ~2021年7月時点までの、大黒屋でのロレックス買取価格・販売価格の全体的な傾向を示したもの。
個々のモデルの価格は異なるが、全体的な状況はこれを見て説明しよう。
堀井
コロナになる前のロレックス価格はどんな感じでしたか?
倉田
そもそもコロナ前もロレックス価格は上昇傾向にあった。
私がこの業界に入った中でも、2019年は最もロレックスの市場が動いた時期だった。原因はインバウンドの増加だ。
堀井
来日する外国人観光客が増えて、ロレックスを購入する人が増えたんですね。
倉田
買う人が増えて市場にロレックスが減ると価格は上昇するというのは、投資のキホン原理だよね。
とくに、中国や東南アジアなど経済発展が著しい国のお客様は資金力が凄まじいからね。
堀井
でも、2020年の3~4月は、一気に価格が下がっていますね。
倉田
2020年の1月にコロナ感染が世界的に明るみになり、日本では2020年の3月~4月にかけて、史上初の新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発令された。
このタイミングでロレックスの価格は一気に下落したんだ。
堀井
やはり海外からのインバウンドのお客様が減って、ロレックスを購入する人が減ったからでしょうか?
倉田
そう考えられる。
また日本のロレックス保有者も景気への不安から、ロレックスを手放す人が増えたと思う。
そうすると、ロレックス市場は供給過多になり、価格も下がっていく・・・。
堀井
しかし、2020年5月にはまた価格が上がっています。
これはどういうことでしょうか?
倉田
緊急事態宣言が明ける前、GWが終わったあたりから、ロレックス価格がまた上昇し始めた。
次の2つが主な要因だ。
堀井
やはりコロナのせいで、ロレックス工場にも影響があったんですね。
倉田
コロナの影響で、ロレックス工場があるスイスでも、2020年3月に連邦政府による非常事態宣言が発令されている。
この時に時計の生産量が減ったため、ロレックスの供給量がかなり落ち込んだ。
堀井
市場に供給できなくなり、価格が上昇したということですね。
倉田
その通り。
スイスの非常事態宣言は6月まで続いたが、5月時点でロレックスの需要が供給を上回ったため、価格が上昇したんだ。
堀井
そして、もうひとつの原因、金融緩和でカネ余り状態というのは、世界中で起こっていますよね。
倉田
そうだ。
コロナのタイミングで各国が金融緩和を行い、世界的にカネ余りの状態になった。
それによって、資金に余裕のある人たちは、資産性の高い不動産や株などにお金を投じるようになったんだ。
堀井
不動産や金も同じタイミングで高騰していますもんね。
倉田
この流れのなかで、ロレックスも資産性の高い投資先として選ばれ、価格が異常に上昇していく。
しかもロレックスの中では投資対象となりにくいといわれる、ドレスウォッチも高騰している。
通常、投資対象のロレックスといえばスポーツモデルなんだけれど・・・。
堀井
今(2021年7月)のロレックス価格は、まだ上昇している最中なのでしょうか?
倉田
この1年、高騰し続けていたので、そろそろ山が見えてくるという印象だ。
ただし、いまのところまだ価格は下がりそうな傾向にない。
堀井
このインタビューを聞いているみなさんも、いつ売ればいいかとソワソワしているんじゃないですかね?
倉田
そこが投資の難しいところで、売り時を意識しはじめた人が、次々に売りはじめると、供給が需要を上回り、市場は供給が過多になって、価格も徐々に下がっていく。
堀井
その供給過多になるタイミングは、いつごろになるんでしょうか?
倉田
私は年内(2021年)は大きな価格の下落はないと読んでいるが、最近(2021年7月)は、中古市場にモノが増えてきた印象だ。
なかでもステンレスのロレックスモデルは増えつつあるので、そろそろ価格が落ち着いてくる局面に入るだろう。
堀井
ちなみに、ロレックス以外のブランド時計の価格変動はどうでしょうか?
倉田
ロレックス以外の高級ブランド時計も、軒並みコロナ後に値上がりした。
しかし、その中でロレックスは上昇率が一番顕著だね。
堀井
なぜ、ブランド時計の中でもロレックスの価格が上昇しやすいのでしょうか?
倉田
やはりロレックスは世界的に人気があるからだ。
とくに最近は「昔から時計が好きで・・・」という人ではなく、【時計は投資対象】として見る人が増えているから、誰もが知っている「ロレックス」は強いんだよ。
堀井
その中でも今回、デイトナに注目する理由は?
倉田
ブランド力の強いロレックスの中でも、最も資産性が高く、普段から定価より価格が上がりやすいのがデイトナだ。
堀井
たしかにデイトナは生産数が少なく、正規店での購入も難しいので、中古相場に流れた途端に、定価を上回るものがほとんどですよね。
新品で買うよりも中古で買うほうが高い。
倉田
時計投資では、とくに定価と中古市場の価格差がもっとも高いデイトナに人気が集中するんだよ。
ただし価格上昇は、デイトナのなかでもモデルによって個性がある。
堀井
なるほど。
同じデイトナでも価格の上がり方が違うんですね。
倉田
ここからは、このコロナ前~今(2021年7月)まで、異常な高騰をみせているデイトナを5つのカテゴリーにわけて、どのように上昇をしたのか詳しく見てみよう。
堀井
ロレックスのデイトナの中でも、定番中の定番モデルが【116500】ですよね。
今も販売されていて、デイトナの中でももっとも人気のあるモデルです。
倉田
116500LNの価格がどう動いたのか考察していこう。
堀井
今年(2021年)4月に急騰して、340万円まで上がっていますね。
倉田
2021年の4月のロレックス新作発表前に、この【116500】が「廃盤(生産終了)になるかも・・・」というウワサが流れた。
高級時計の世界ではよくあることで、新作発表の前には必ずといっていいほど廃盤説が流れる。
すると、投資目的の方々は【116500】を買い漁る。
価格は急騰する。
堀井
廃盤説が流れると価格が上がるのは、ロレックスの世界ではよくありますね。
でも、結局【116500】は廃盤しませんでした。
倉田
そうだな。
結局、廃盤説はデマだったことがわかって、【116500】の価格はその後下がっていった。
いっぽう、この現行モデルの一世代前、【116520】の価格は今も上がり続けている。
堀井
2020年6月ごろは、【116520】は228万円で店頭販売されていますね。
でも、2021年1月には、258万円になっています!すごい上昇だな・・・。
倉田
半年で30万円くらい価格が上がっている。
さらに、2021年7月は338万円まで上がった。この1年で100万円も上昇しているんだ。
堀井
これはどういう理由からですか?
倉田
【116520】はすでに廃盤になっているからだ。
現行の【116500】は高いし、それだったら同じデザインの【116520】に投資しようということだと思われる。
堀井
今度はイエローゴールドのデイトナ【116508】ですね。
倉田
この金無垢にグリーン文字盤は日本人から見るとちょっと派手に感じるけれど、中国や東南アジアなどの富裕層には人気のデザインだ。
倉田
コロナ前の2020年の1月頃にはおよそ500万円で、定価よりも120万円くらい高く取り引きされている。
コロナショックの影響も少なく、今年(2021年)の1月頃は、600万円まで上がった。
堀井
そして2021年2~3月頃に、さらに急上昇をしてますね!
倉田
うむ。
急に1300万円くらいまで上がった。
堀井
(ビックリ・・・)
いったい何が起こったのでしょう?
倉田
理由は、やはり翌月4月のロレックスの新作発表を前に、同じ型の新作が出るから廃盤になるというウワサがここでも流れたんだ。
堀井
それにしても価格の上がり方がすさまじくないですか?
倉田
アジア系富裕層好みのモデルは、ケタ違いのお金が動くから、こんな極端な上昇をするんだろう・・・。
堀井
でも、2021年7月は1,000万円ほどに落ち着いていますね。
倉田
これも廃盤説はデマだったからという理由で説明がつく。
堀井
同じようにお金持じゃないと手が出ないのが、こちらのプラチナ無垢のデイトナ【116506】ですよね。
倉田
こちらも人気の高いモデルだ。
デイトナ 116506(ダイヤなし)定価800万円
堀井
インデックス(数字が入っている箇所)にダイヤが入っているモデル(116506A)と、ダイヤが入っていないモデル(116506)がありますね。
倉田
このモデルはさっき紹介したイエローゴールドのグリーン文字盤と違って、デザインが落ち着いているので日本人のお金持にも人気のモデルなんだ。
堀井
2020年12月ごろの価格は1,000万円くらいですね。
倉田
今(2021年7月)は、ダイヤなしモデルは1500万~1600万円くらいまで、ダイヤ入りは1700万~1800万円まで上がっている。
堀井
とんでもない値上がりですね!
倉田
いや、さっきの中国人好みのイエローゴールドと比べると、上昇率は大したことはない。
イエローゴールドは定価380万円のものが1300万円まで上がっているから、約340%の上昇率だからね。
堀井
こちらのプラチナ無垢が定価800万円が1,600万円まで上がったのなら、上昇率は200%か。
たしかに、上がり幅で比べると、イエローゴールドの方が急ですね。
倉田
ゴールド無垢よりも、プラチナ無垢の方が素材の希少性が高く、時計の価格も高い。
しかし、プラチナは見た目が普通のステンレスと同じだから、いくら高級でも派手さがない。
堀井
日本人はギラギラした金無垢より、『見た目は地味だけど、実は高級』みたいな奥ゆかしい(?)ものを好みますよね。
倉田
しかし、日本人のお金持ちは、中国や東南アジアのお金持ちよりも勢いがないから(笑)、価格上昇の動きも緩やかなんだと思われる。
もともと定価が1000万円近い高額な時計は、上昇率もそれほど高くならないという理由もあるがな。
堀井
こちらは貝殻の素材を使用したシェル文字盤にダイヤの入った、デイトナのコンビモデル116503NGですね。
倉田
このモデルもすごく派手目なイメージだが、素材にシェルを使用しているために、メンテナンス費用が高額で、とてもお金がかかるモデルなんだ。
そのせいか、これまではあまり人気がなかった。それが・・・。
倉田
2021円7月時点の価格は350万円まで上昇している(黒いシェルの場合)。
2020年10月ごろは、250万~260万円だったから、100万円ほど上昇したことになる。
堀井
何があったんですか?
倉田
このモデルは、2021年4月に廃盤になったのだ。
堀井
この廃盤は予想されていたんですか?
倉田
それが誰も予想していなかったから、廃盤がわかった途端に価格が上昇したんだ!
堀井
人気がなかったせいで、だれも廃盤を予想していなかったんでしょうか。
お持ちの方はラッキーですね。
倉田
不人気モデルは、所有者が少ないから、市場に出回る確率も低いので、しばらくは上昇が続くだろう。
まさに大穴モデル。
堀井
今度は、ピンクゴールド無垢・チョコレート色の文字盤の116505ですね。
倉田
このモデルは2016年の発売当初から人気のモデル。
倉田
2020年の4月に500万円だったが、2021年7月は670万円まで上がっている。
堀井
コロナの影響を受けることなく、ずっと価格が上がっていますね。
倉田
とても人気があるモデルで、需要があるからジリジリと上がり続けているんだ。
堀井
同じモデルで、黒文字盤のもありますよね。
黒文字盤のほうも450万円から600万円代まで上がっていますね。
倉田
そうだが、やはりチョコレート文字盤がもっとも人気だ。
新品での販売時は同一販売価格だから、中古市場ではチョコレート文字盤の価格がもっとも高い。
堀井
チョコレート文字盤は最近のトレンドなんですね。
倉田
ちなみに、ヨットマスターにも、チョコレート文字盤のモデルがあるが、やはり同じ型の黒文字よりも高値で売買されている。
堀井
なるほど。
倉田
このモデルに関しては、投資目的ももちろんだが、人気があるから価格が上昇しているといえるだろう。
堀井
ここまでデイトナの価格上昇について、5つのタイプを見てきました。
まとめると、価格上昇の要因は、次のようなことで起こることがわかりましたね。
倉田
もうひとつ付け加えておくと、ロレックスの価格変動のメインの要因は為替相場だ。
しかし、廃盤や流通量の減少など、ちょっとした変化で突然上昇することもあるから、普段から時計市場の情報収集をしておくといいことがあるかもしれない。
堀井
ここまで見てきたデイトナの価格の上昇ですが、上昇率はモデルによってもかなり異なりますね。
倉田
そうだね。
上昇率が高い順に、デイトナのランキングを見てみよう。
堀井
上昇しているロレックスのデイトナですが、今後はどこかのタイミングで価格が落ち着いてくるのでしょうか?
倉田
今は円安でなおかつカネ余り状態での上昇なので、ロレックスの需要に対する変動ではなく、投資相場の影響が強い。
いわばコロナバブルで、異常な状態だ。だから、価格が急落するタイミングもそう遠くないだろう。
とはいえ、『下がる』というよりは『適正価格』に戻るイメージだな。
個人的には2022年以降と踏んでいる。
堀井
では、ロレックスを持っている人は、どのタイミングで手放すのがベストなんでしょうか。
価格が下がる前に、高値で売れる段階で手放したいのが、ロレックス投資家だと思いますが。
倉田
それは我々プロでもタイミングを読むことは難しい。
ある一定の価格まで下がると、動きはじめる。
その一定の金額がどこなのかという明確な数字は示せないけどね。
しかし、どんな状況でも、次のタイミングが売り時(高く売れる時)であることは確かだ。
倉田
この条件が揃っている時に、私たち大黒屋のような買取業者は、一番いい値を付けられる。
なかでもデイトナは、もともとモノが少ないので、やはり投資対象としてはベストなモデルといえる。
堀井
デイトナの売り時はいつ来ますかね?
倉田
ロレックスの新作発表は4月。
新作発表の前に廃盤を狙って手離す人が多く、その後、新作発表がなかった(廃盤しない)モデルは価格が下がるから、みんなが買い漁っていく。
というわけで、ちょうど今の季節(6月~7月)は、デイトナが市場に不足しているから、売り時としてはいいタイミングかもしれない。
堀井
なるほど・・・。
堀井・倉田
みなさんも、お家に眠っているデイトナの売り時を迷っていたら、まずは大黒屋にご相談ください!
プロの査定員が、みなさんにベストな売り時をご提案させていいただきます!