細部まで徹底レビュー!ウブロの新作、スピリットオブビッグバン

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大黒屋査定員 瀧正貴

今回は、発表されたばかりの新作時計の評価、過去モデルと異なる点、実際に着けてみた感想、マイナス点などなど、目利きの視点で語り尽くします。

話し手は、大黒屋社内でも時計好きとして一目置かれ、プライベートでも時計を買いまくっている査定員の瀧正貴です。

今回ご紹介する新作時計は、ウブロ スピリットオブビッグバン

2014年バーゼルワールド発表モデル
HUBLOT(ウブロ)スピリットオブビッグバン チタニウム 601.NX.0173.LR

― ウブロの新作、スピリットオブビッグバン、ズバリどんな時計でしょうか?

ウブロのビッグバンシリーズといえば、ビスが貫通したベゼルデザイン、多層構造のケースデザインが特徴です。

この特徴を踏襲しながら、ムーブメント(内蔵の機械)や技巧に、より高い技術を採用しているのが、スピリットオブビッグバン

これまで丸形だったケースが、樽型ケースにモデルチェンジされています。

今回の最大の変更点ですね。

素材には、チタン、ポリカーボネート、革、ラバー、サファイアクリスタルなど、多くの素材が使われています。

宇宙のはじまり…ビッグバンがさまざまな物質の融合を経て大爆発するさまを連想するような、壮大なイメージで作られている時計です。

ウブロ(Hublot )
1979年創立のスイスの高級時計メーカー。
ウブロとはフランス語で「舷窓」という意味で、舷窓のようにビス留めしたデザインのベゼルが特徴。

ビッグバンシリーズ
「フュージョン(融合)」をコンセプトに、異なる素材を組み合わせて作った人気の時計シリーズ。
ビッグバンとは、宇宙用語で「すべてのはじまり」という意味。いろんな物質が混じり合って生まれた宇宙のはじまりを表現している。時計において異なる素材を使用することは高度な技術を必要とする。

― スピリットオブビッグバンのランクを教えてください。

スピリットオブビッグバンの定価は250万円くらい。

ウブロの時計は150~160万円が一般的なラインです。

ちょっとお高めのミドルラインと言えるでしょう。

スピリットオブビッグバンを着けてほしい5つの理由

― この時計の魅力はどんなところでしょうか?

私が今回注目しているのは以下の5つです!

  • ウブロ初の樽型デザイン
  • 高性能なゼニス社のムーブメントを使用
  • カレンダーが高級感あふれるくり抜き加工
  • ベルトに革とラバー(ゴム)をコンビで使用
  • 見た目に対しての軽さ

魅力1:樽型デザインはウブロ初!

ウブロ初。丸型ケースから樽型ケースへと大胆なデザインの変更。

― ケースが丸型から樽型へ変わりましたね?

はい。ビッグバンシリーズは2005年に発表されて以来、ずっと丸型ケースでした。

今回のスピリットオブビッグバンで、初めて樽型ケースが採用されたのです。

こうしたモデルチェンジは、簡単ではありません。

ケースの形が変わると、それに合わせてムーブメントも変える必要があります。

新たに特注しなければならないので、大規模な投資が必要なのです。

失敗は許されません。新モデル発表は、ブランドにとって大冒険なのです。

ビッグバンシリーズ初の樽型デザイン
従来の丸形デザインのビックバン

― 今回の大胆なモデルチェンジ、成功したと言えるでしょうか?

結果的には大成功でしたね。

ウブロブランドが広く浸透していたので、モデルチェンジ後もファンにすんなり受け入れられました。

ウブロの知名度を上げたのは、現在、ウブロの広告分野を担当しているルイ・ヴィトンです。

実は、ウブロは2008年に、LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンの傘下となりました。

その後、広告分野が得意なルイ・ヴィトンがウブロのイメージ戦略を手掛けています。

ウブロは冒険しても好意的に見てもらえる不動の地位を築いたと言えるでしょう。

ウブロとルイ・ヴィトンはグループ企業
持ち株会社が同じで、提携関係にある。タグホイヤー、ゼニス、ブルガリなども同じグループ企業。

魅力2:精度の高いゼニス社のムーブメントを採用!

時計の命であるムーブメントは、高精度のゼニス社製。

― スピリットオブビッグバンのムーブメントはゼニス社製なんですね!

そうなんです。これまでのビッグバンシリーズのムーブメントは、ゼニス社製ではありません。

今回からゼニス社が採用されました。

ゼニス社と言えば、ロレックスの旧型デイトナ16520のムーブメントを製作していることで有名。

実は、ウブロとゼニス社はグループ企業です。(どちらもLVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンの傘下)

スピリットオブビッグバンには、ゼニス社が開発したエルプリメロベースのムーブメントがカスタムして使用されています。

ゼニス社とは・・・
スイスの老舗時計メーカー。時計内のムーブメントを製作している。品質の高さから、ムーブメントはロレックスやパネライなど数多くの時計ブランドに採用されたことでも有名。

エルプリメロベースとは・・・
「エルプリメロ」はゼニス社が開発した高精度ムーブメント。スピリットオブビッグバンには、エルプリメロを応用したムーブメントが使用されている。

― 今回使用されているムーブメント、どんな点がスゴイのでしょうか?

ケースを裏から見たところ。ゼニス社の
ムーブメントは機能はもちろん、見た目も美しい。

時刻を正確に刻む精度が高いんです。

ムーブメントの中には、回転して針を動かすテンプ(調速機)というパーツがあります。

テンプが1秒間にどれだけ回転するかは、振動という単位で表されます。

振動数が大きいほど、時間がずれにくく、正確な時刻を刻むことができるのです。

ロレックスをはじめとした時計のほとんどは、「6振動」や「8震動」。

対して、スピリットオブビッグバンは「10振動」です。

これは1時間で3万6千振動、ゼニス社が作るムーブメントの最高値にあたります。

ただし、振動数が大きいと、時計が故障しやすくなるというデメリットも。

ロレックスは、故障のリスクを減らすために、あえて振動を落としているんです。

最高値の1時間3万6千振動から、2万8千振動まで落としています。

スピリットオブビッグバンでは、逆に振動を落とさず、高速振動なのです。

― 故障のリスクは?

今回、ゼニス社はスピリットオブビッグバンのために、故障のリスクがない特別なムーブメントを開発しています。

故障や劣化を気にして着ける必要は、あまり考えないでよいかと思います。

魅力3:職人技が光るカレンダー!

スケルトン化しても美観を損ねないムーブメント。
カレンダーディスクのくり抜き加工は秀逸。

― スケルトン化されたカレンダー、これまでと違うのですか?

カレンダーの文字はくり抜き加工。
職人の技が光る、手の込んだデザイン。

これまでのビックバンシリーズでは、文字盤やカレンダーディスクの数字がプリント(印刷)された文字でした。

しかし、スピリットオブビッグバン以降、数字がくり抜き加工されています。

これはプリントよりも職人技が必要。コストもかかります。

市場に出回るブランド時計のなかでも、ここまでの技巧が施される時計はなかなかありません。

内蔵された機械が露出すると、武骨な印象を与えがちです。

しかし、スピリットオブビッグバンは、美観を損なわず、均整の取れたデザインに仕上がっています。

魅力4:ベルトは劣化を防ぐラバー素材

ベルトには革とラバー(ゴム)を使用。これで装着感と耐久性がアップ!

― ウブロの時計はベルトが革ですよね。革は劣化が激しいのでは?

時計のベルトは、革よりも劣化しにくい金属製のほうが、好まれる傾向にあります。

しかし、本来、金属ベルトは汗をかく労働者用で、革ベルトのほうが正当とされているんです。

ヨーロッパの王室など、本物のセレブは革ベルトの時計しか使用しません。

ウブロの時計は高級感を出すために革を採用しつつ、革が劣化しにくいようにきめ細かい配慮がされているんです。

― どんな工夫があるのでしょうか?

ベルトにラバー(ゴム)を使用。よく見ると、
べルト裏だけでなく、側面や穴のふちまでラバーが
使用されていることがわかります。

革にラバー(ゴム)素材を組み合わせているのです。

これで革の劣化を防ぐことができます。

直接肌に触れるベルト裏だけでなく、ベルトのサイド、ベルトの穴のふちなど、汗が染み込みやすい部分にラバー素材が使用されています。

とても手間暇がかかると思いますが、細かい配慮がうれしいですよね。

さらに、ラバーは吸い付くような装着感があり、着け心地もいいのです。

今ではこのラバー加工、他ブランドもマネするようになりました。

魅力5:存在感があるのに軽い!

存在感のあるケース、イカつい印象・・・しかし装着してみると、思った以上に軽い!

― 装着した感想は?

スピリットオブビックバンは、ケースサイズが
縦51mm×横45mmのかなり大きい時計。

見た目からすると、重そうな印象かもしれませんね。

でも、実際に着けてみると驚く程に軽いです!

重さは127g。ロレックスのデイトナと同じくらいですね。

数あるブランド時計の中でも軽い部類と言えるでしょう。

― そんなに大きいのに、なぜ軽いのでしょうか?

スピリットオブビックバンのケースにはチタン素材が採用されています。

通常の時計のケース素材には、ステンレスが使われていることが一般的です。

チタンはステンレスと比べるとずっと軽いんですよ。

やはり軽い時計のほうが使いやすいですよね。

おまけ:ユニークな付属品

スピリットオブビッグバンは、付属品にも注目したい!

スピリットオブビッグバン本体と付属品一式。

― スピリットオブビッグバン、箱や付属品もカッコいいですね!

USBカードリーダーに
ギャランティーカードを差し込む。

スピリットオブビッグバンには、木製の箱とUSBカードリーダー、ギャランティーカードが付属しています。

実はこのUSBカードリーダーにギャランティーカードを差し込んでパソコンに接続すると、オーナー情報を登録することができます。

一風変わった小道具も、コレクターには嬉しいですね。

スピリットオブビッグバンの率直な感想

― ここまではスピリットオブビッグバンの魅力について見てきました。反対に、マイナス点はありますか?

ケースが大きいので、手首の骨に当たりやすいかもしれません。

メカニカルなデザインは、ゴチャゴチャして時間が読みにくいと感じることもあるでしょう。

また複雑なデザインのため、メンテナンス代が通常の時計よりもかかります。

しかし、私自身はこれらのマイナス点を差し引いても、ピリットオブビッグバンは自信を持っておすすめできるすばらしい時計だと思います。

― どんなシーンで着ける時計でしょうか?

ビッグバンシリーズは、スポーツウォッチに分類されます。

しかし、高級感のあるデザインなので、スーツでもカジュアルでも着けられるでしょう。

たとえばタイトなスーツの袖元にも合いますし、ポロシャツに短パンというリラックスウェアで着けても様になりますね。

オールシーンで着けられるから、ウブロには熱狂的なファンが多いのです。

― あらためて、スピリットオブビッグバンを総合評価すると?

デザイン ★★★★★5 スケルトンの美観はビッグバンシリーズでも随一
精度 ★★★★4 ゼニス社の高精度なムーブメントを使用
装着感 ★★★★4 軽いけれども やや大き過ぎるかも
コストパフォーマンス ★★2 修理代がけっこうかかりそう
トレンド性 ★★★★★5 人気急上昇中 手に入れたい人が多数!

現在のトレンドである大型ケースに、本格的な実力を持つムーブメントを搭載した質実剛健な一本。

腕時計の一流メーカーに成長したにもかかわらず、「挑戦」「融合」という会社の理念を実行するウブロの新作発表には、毎回驚かされています。

スピリットオブビッグバンは、登場した当初、「変な形のビックバンが出た」という声がファンから漏れました。

しかし今では売れ筋モデルとして、販売店のショーウィンドウの中央に鎮座しています。

ウブロの新作を、是非あなたも堪能してみてください!

大黒屋より一言

ウブロは比較的歴史の浅い時計メーカーです。

だからこそスピリットオブビッグバンのような冒険心あふれる魅力的な時計が発表されるのかもしれません。

これからもウブロからどんな時計が発表され、それがどのように進化していくのか、ますます目が離せませんね。

スピリットオブビッグバンを売りたい!買いたいとい、ウブロの時計をもっと知りたい!というお客様は、お気軽に大黒屋にご相談ください。