「国産ウイスキーが高値で売れるらしいけど、うちにあるウイスキーはどうだろう?」
「山崎、竹鶴などの国産ウイスキーはどこまで値上がりするかしら?」
最近、ジャパニーズウイスキー価格高騰のニュースがきっかけで、お酒の投資に興味を持つ方が増えてきました。
たしかにジャパニーズウイスキーの価格高騰はすさまじいものがあります。
お品によっては、数年前の2~3倍になっていますからね。
興味をお持ちになるのは当然のことです。
とはいえ、すべての銘柄が値上がりしているわけではありません。
また、銘柄ごとに値上がり率もさまざまです。
あせって酒屋やオークションサイトなどで購入することのないようにしてくださいね。
損をしてしまう可能性が高いですから。
こんにちは!
お酒は一滴も飲めませんが、大黒屋でのお酒管理を一手に引き受けているお酒専門の査定員、藤間です。
手前味噌ではございますが、私、藤間は国内でもっともお酒をお買い取りさせていただいているうちのひとりと自負しております。
と申しますのも、私たち大黒屋は国内オークションサイトにおいて、トップクラスのお酒販売実績を誇ります。
今日はそこで得た知見をもとに、ジャパニーズウイスキー売買のポイントを紹介していきますね。
まずは、直近3年間で買取価格が上昇したジャパニーズウイスキーの銘柄をランキング形式で紹介していきましょう。
値上がり率が銘柄ごとに大きく異なっていますね。
実は、高値が付くジャパニーズウイスキーの特徴のひとつに、「10年以上熟成したウイスキーであること」が挙げられます。
ランキングも大切ですが、今回はランキングから値上がりしやすい銘柄の特徴についても紐解いていきますね。
また、「酒売買国内トップクラスの男が考えるウイスキーの売り時」と銘打ちまして、私が考える売却のタイミングもお伝えします!
私がどのように情報収集して、売買のタイミングを見極めているのかもお教えますので、ぜひ最後までお付き合いください。
この記事がきっかけになり、少しでも正しいウイスキーの知識が広まればと願っています。
また、投資目的でウイスキーを購入されて損をしてしまう方がひとりでも少なくなればうれしい限りです。
それでは本編にまいりましょう。
大黒屋査定員
堀井
ここ数年、国産ウイスキーの買取価格が高騰しているんですよね。一体、どのぐらい上昇しているのでしょうか?
藤間
そうなんです!
サントリーやニッカウヰスキーなど、国産ウイスキーの値上がりは本当にハンパないんですよ!
下の表は大黒屋で買取りしているお酒のうち、ここ数年間で買取価格の上昇率が高い銘柄を、ランキングにしたものなんですが・・・。
順位 | 商品名 | 大黒屋の買取価格 | 価格の 上昇率 |
|
---|---|---|---|---|
2015年 | 2021年 | |||
1 | 余市 15年シングルモルト |
¥15,000 | ¥80,000 | 533% |
2 | 山崎 25年シングルモルト |
¥200,000 | ¥880,000 | 440% |
3 | 山崎 18年シングルモルト |
¥24,000 | ¥93,000 | 388% |
4 | 白州 25年シングルモルト |
¥120,000 | ¥410,000 | 342% |
5 | 竹鶴 25年ピュアモルト |
¥55,000 | ¥185,000 | 336% |
6 | 余市 198420年貯蔵 シングルモルト |
¥200,000 | ¥650,000 | 325% |
7 | 響 21年 |
¥20,000 | ¥64,000 | 320% |
8 | 白州 18年シングルモルト |
¥20,000 | ¥64,000 | 320% |
9 | 余市 20年シングルモルト |
¥65,000 | ¥200,000 | 308% |
10 | 響 30年 観音開き 金箱 |
¥200,000 | ¥550,000 | 275% |
11 | クリュッググランキュヴェ |
¥6,000 | ¥16,000 | 267% |
12 | サロン ブラン・ド・ブラン 1999 |
¥25,000 | ¥65,000 | 260% |
13 | 響 30年 |
¥180,000 | ¥460,000 | 256% |
14 | ペリエ・ジュエ・ベルエポック |
¥5,000 | ¥12,000 | 240% |
15 | 竹鶴 35年ピュアモルト |
¥200,000 | ¥450,000 | 225% |
16 | 山崎 ミズナラ ザ・ローリング・ストーンズ 結成50周年記念 |
¥1,200,000 | ¥2,500,000 | 208% |
17 | ザ゙・マッカラン 30年 シェリーオーク ブルーラベル |
¥300,000 | ¥610,000 | 203% |
18 | アルマン・ド・ブリニャック ブリュット |
¥12,000 | ¥22,000 | 183% |
19 | 宮城峡 198820年貯蔵 シングルモルト |
¥100,000 | ¥180,000 | 180% |
20 | DRC ロマネコンティ 1999 |
¥900,000 | ¥1,600,000 | 178% |
藤間
グリーンで示しているのが国産ウイスキー。国産ウイスキーがランキング上位を、ほぼ独占しているといっていいでしょう。
堀井
同じ国産でも、日本酒や焼酎は値上がりしていないのですか?
藤間
国産ウイスキーに比べると、日本酒や焼酎の上昇率はゆるやかです。
大黒屋が買い取らせていただいているお酒のうち、日本酒、焼酎、ブランデーなどは20位内に入っておらず、ランク外になっています。
堀井
ランキング上位のウイスキーは、上昇率がスゴイですね!
藤間
そうなんです!!
トップにランクインした「余市 15年 シングルモルト」の3年前の買取価格は1万5,000円ですが、現在(2018年10月)の買取価格は5万3000円。
3倍以上に跳ね上がっていますね!
2~4位までの「白州」や「山崎」も、3年前と比べると2.5倍以上の買取価格。
藤間
まさに、国産ウイスキーは今が売り時といっていい状態なのです。
堀井
今回、1位を獲得したニッカウヰスキーの「余市15年」は、サントリーの「山崎」や「白州」より人気があるということですか?
藤間
「余市15年」が1位になったのは、たまたまですね。
買取価格は常に変動していますから、「余市」「山崎」「白州」のうち、どれが1位にランクしてもおかしくない状態です。
「余市15年」は定価がもともと低いので(約5,000円)、買取価格が上昇しやすくなっていると考えられます。
ジャパニーズウイスキーの代表といえば、やはりサントリーの「山崎」や「白州」。
サントリーのウイスキーが上昇しているから、ニッカウヰスキーも一緒に上がっているといえるでしょう。
堀井
なぜ国産のウイスキーの価格は上昇しているのですか?
藤間
それは、国産ウイスキー(ジャパニーズウイスキー)が世界的に大人気だからです。
2000年頃まで、ジャパニーズウイスキーは海外ではほぼ無名で、需要がありませんでした。
国産の酒造メーカーは、レベルの高いウイスキーを作ってはいましたが、注目される機会がなかったんです。
しかし、その間、国産メーカーは原酒をじっくりと眠らせ、質の高いウイスキーを熟成していました。
日の目を見たのは、2000年代の世界的な和食ブーム。
これをきっかけに日本のウイスキーも注目され、国際的なウイスキーの賞を次々と受賞するほど、高い評価を受けるようになりました。
評価が上がれば欲しい人が増えるので、価格は上がります。
しかも、ウイスキーは何年も熟成させなければいけないので量産できません。
数の限られた国産ウイスキーは奪い合いになり、価格が上昇し続けているのです。
堀井
ジャパニーズウイスキーは、あらゆるブランドが値上がりしているのですか?
藤間
すべてのジャパニーズウイスキーが値上がりしている訳ではありません。
10年以上寝かせた国産ウイスキーでなければ、値段は上がらないでしょう。
今回のランキング上位のジャパニーズウイスキーは、「余市15年」「白州25年」「山崎25年」など、長年熟成されたものばかりです。
堀井
買取価格が定価を越えて、プレミアが付いているものもありますか?
藤間
プレミアはハンパなくついています。
今回ランクインしている国産ウイスキーは、3年前の時点で、すでにプレミアが付いているものばかり。
たとえば、3位にランクインしている「山崎25年」の定価は約12万円。
3年前の時点で買取価格が20万円ですから、8万円のプレミアです。
さらに現在の買取価格は52万円になりましたので、40万円もプレミアが付いていることになります。
藤間
そもそも酒の買取価格が定価を超えることはほとんどないんです。
現在のジャパニーズウイスキーの値上がりがいかにスゴイかがおわかりいただけると思います。
堀井
今後も買取金額は更新されていくでしょうか?
藤間
まだ上がる可能性はありますが、上がったとしてもあと1~2年くらいではと予想します。
現状では、上がり切った感があります。
ただし、ジャパニーズウイスキーのブランド力は確実なものになっているので、大きく下落していくことはないでしょう。
堀井
ウイスキーが値上がりするタイミングは、どんな時なのでしょうか?
藤間
数が少なくなると、価格は上昇します。
数が少なくなる要因は2つ。
休売(販売中止)品と限定品です。
たとえば、今年(2018年)「白州12年」の価格が、休売のため急上昇しました。
それまでの買取価格が6,000円だったのに、数ヶ月で4万円にまで高騰したんです!
堀井
え~?4万円!?
藤間
価格上昇の流れを時系列でみてみましょう。
月 (2018年) |
「白州12年」の価格変動の流れ | 「白州12年」の 大黒屋の買取価格 |
---|---|---|
1月 | ネットで「休売になる」というウワサが流れる | 6,000円 |
2月 | ウワサを知った人が買い漁る 買取価格が1ヶ月で急上昇 |
3万円⬆ |
3月 | 価格上昇が止まらない | 3万5,000円⬆ |
4月 | サントリーから「6月に休売」の公式発表 高値のうちに売る人が急増 |
3万8,000円⬆ |
5月 | 最高値で高止まり | 4万円⬆ |
6月 | 徐々に価格が下落 | 3万円⬇ |
・・・ 10月(今) |
価格は落ち着いている様子 | 2万円 |
まず今年の1月頃に、インターネットの掲示板サイトで「白州12年が休売になる」というウワサが流れました。
おそらくサントリーと取引がある関連会社の社員、もしくはそれに準ずる内部の方が情報を流したのでしょう。
当初は信じられていませんでしたが、内情を知る方々の情報が次々に飛び出して、「どうやら本当らしい」ということになりました。
そうなると「白州12年は値上がりする!」と確信したマニアが買い漁りはじめます。
ウワサが出回りだしてから1ヶ月ほどで、買取価格は6,000円から3万円にまで上昇。
2~3月ごろは毎日のように価格が更新されました。
4月、サントリーが公式ホームページで「2018年6月を目途に、シングルモルトウイスキー『白州12年』を休売いたします」と正式発表。
やはりウワサは本当だったわけです。
これにより価格がさらに上昇。
2~4月に購入された方は価格が上昇したタイミングを狙って、今度は「白州12年」をドンドン売り出しました。
大黒屋にもかなり持ち込みがありましたね。
5月になると、最高値の4万円あたりまで上がって、1ヶ月ほど高止まりが続きます。
さらに上がるのかと思いきや、6月に休売を迎えると、価格は徐々に下がり3万円まで下落。
藤間
その後も緩やかに下落し、現在(10月)は2万円まで下がっています。
堀井
上昇するのも速いですが、下落するのも速いですね・・・。
藤間
そうですね。こういうパターンは珍しいのですが、価格が読みづらいですね。
上手に手に入れて、ベストタイミングで手放した方は、ラッキーだと思います。
堀井
「白州12年」のような値上がりするウイスキーを手に入れるには、どうすればいいのですか?
藤間
休売すると予想されるウイスキーを買うんです。
もちろん、酒造メーカーの「休売します」という発表を聞いてから手に入れようとしても遅いですよ。
その時点で、もう商品はなくなっているでしょう。
発表の前に休売情報を得るには、お酒マニアが集まるインターネットの掲示板などを、普段からよく見ておく必要があります。
私はそういう掲示板などを日ごろからチェックして、情報を見逃さないようにしていますね。
情報をゲットしたら、すぐにネットや近所の酒屋さんなどで、そのウイスキーを購入しておきます。
堀井
では、運よく手に入れることができたとして、売るタイミングはどのように見極めればいいのでしょうか?
少しでも高く売るには、どうすればいいですか?
藤間
うーむ。非常に難しい質問ですね。それは我々のようなプロでも非常に難しい・・・。
たとえば、メーカーの「休売(終売)します」という正式発表がひとつの売るタイミングです。
海外のメーカーは「休売」を告知しませんが、日本のメーカーは公式サイトなどを通じて教えてくれます。
それから、オークションの入札件数が一つの目安になるかもしれません。
たとえば、ヤフーオークションなどに出品されている同商品をチェックして、入札件数が5人以下なら、これ以上の値上がりはないと思われます。
需要が少なければ、価格は下がるものですから。
値下がりしないうちに、サッサと売ってしまったほうがいいでしょう。
30人以上が入札しているようなら、「まだまだイケる」と思っていいかもしれません。
堀井
とはいえ、いざとなると、なかなか判断ができないものですよね・・・。
藤間
はい。今回のような場合、売るタイミングを逃してしまう方もいらっしゃいます。
4月に3万円、5月に4万円まで上がったら、「6月は5万円くらいまで上がるのでは?」と期待しちゃいますよね。
気持ちはよくわかります・・・。
やはり、欲を出し過ぎないほうがいいですよね。
「もっと上がるかも・・・」と思うと、痛い目にあってしまうものです(笑)。
堀井
休売のほかに限定品、生産数が決まっているお酒は高値が付きますよね。
藤間
そうですね。
今回のランキングに入っている「山崎 ミズナラ ザ・ローリング・ストーンズ 結成50周年記念」のような限定品は数が限られるので、価格が上がります。
藤間
ただし、限定品は手に入りにくいです。
限定品はデパートの品評会で購入可能ですが、品評会に招待されるにはデパートの外商さんとお付き合いする必要があります。
一般の方が手に入れるチャンスは、街の酒屋さんの抽選販売や、酒屋のオープン記念で「限定〇名様まで販売」といった企画など。
こういう情報は酒屋さんのホームページなどでチェックしてみてくだいさい。
それから酒屋さんの店主と仲良くなって、入荷情報をもらうのもいいです。
ウイスキー投資で勝利するには、いかに情報を得るかがカギになるでしょう。
堀井
ウイスキーの売却先のオススメを教えてください。
藤間
やはりお酒の価値がよくわかっている買取店を選んだほうがいいですね。
先日も元バー経営者のご夫婦がお酒を売却にいらっしゃいました。
そのご夫婦は珍しいウイスキーをたくさんお持ちだったんですが、ほかの買取店に問い合わせたら、お酒の銘柄をよく知らない様子だったのだそう。
「かなり年代物の国産ウイスキーだから、価値のわかるお店で査定してもらいたい」とお話されていましたね。
堀井
お酒の価値がわかるお店かどうかは、どのように判断すればいいのですか?
藤間
電話などで問い合わせてみて、お酒の銘柄を挙げ、応対の様子を聞いてみるといいですね。
お酒の特徴や買取価格の推移など、きちんと理由を挙げて買取価格を査定しているようであれば、お任せしていいでしょう。
一方で、根拠のない説明が続くようであれば、止めておいたほうがいいかもしれません。
もちろん、大黒屋はウイスキーに詳しい査定員がしっかりと査定させていただきますよ!
堀井
国産ウイスキー、ウワサ通り高騰しているようですね!
ご自宅に眠っている国産ウイスキーがあるなら、今がチャンスです。
では最後に、国産ウイスキーの売買のポイントをおさらいしましょう。
藤間
なにかわからないことがありましたら、いつでも遠慮なく大黒屋へご相談くださいね。
ウイスキーのことはよくわからないけれど、国産ウイスキー投資をはじめてみたいという方のご相談も大歓迎です!