「ネットオークションやフリマアプリで売られているヴィトンを買いたいのですが、偽物が多いと聞いて不安です・・・」
「手元にあるヴィトンの財布が偽物かどうか調べたいです。素人でもカンタンに見分ける方法はあるのでしょうか?」
「最近はコピー品の品質が上がっているという話を聞きます。シリアル番号があっても偽物の可能性はありますか?」
もしかしたら偽物かも・・・。
そう思って大黒屋へルイ・ヴィトンの財布やバッグをご売却査定のために、お持ちになるお客様は少なくありません。
最近はオークションサイトやアプリなどでブランド品をお買い求めになるお客様が増えたこともあり、偽物をつかまされる被害に遭う方も非常に増えました。
お持ちのルイ・ヴィトンのバッグが偽物だったら、これまでのように外に持ち歩くのはイヤですよね・・・。
とはいえ、我々のような鑑定士のところへ査定に出向くのもメンドクサイ・・・。
そのお気持ち、よくわかります。
できることなら、手間ヒマかけずに自分でセルフチェックができたらいいですよね。
こんにちは。
大黒屋で13年間、ブランドバックを中心に査定を行ってきた、査定員の中村でございます。
私は毎日、膨大な数のブランド品を査定しておりますが、ルイ・ヴィトンのケースでいうと、100件中、5件から10件は偽物を疑うお品に出くわします。
しかも、それらの偽物はこの10年でかなりの進化を遂げているんですね・・・。
以前は一目でわかるような粗悪な偽物が多かったのですが、今では本物同様キレイに仕上がった偽物が次々と生まれています。
正直、その違いを見分けるのは、我々のようなプロでさえ至難の業です。
それでは、我々プロは、どのように本物と偽物を見分けているのでしょうか?
実は、ひとつのポイントだけでなく、偽物と思われる細かい状況証拠を積み上げ、総合的に真贋を判断しているのです。
たとえば、ルイ・ヴィトンの場合、モノグラムの柄が1ミリ弱ズレているとします。
そこで、我々は偽物の可能性を疑うわけですが、それだけで偽物と判断することはありません。
そのような偽物と疑えるポイントをいくつも積み上げていき、最終的に診断を判断するわけです。
「そんな細かいところまで確認できないよ!」
そう思われるかもしれません。
しかし、我々のようなプロではない一般の方でも、この積み上げ方式の真贋チェックは可能です。
今回、私がこの記事を執筆しているのは、それを証明するためでもあります。
もちろん、非常に精巧に作られているコピー品を見破るのは難しいかもしれません。
しかし、世の中に出回っている偽物がすべて精巧な偽物なわけではないので、セルフチェックでも十分に見破ることができるんです。
これからお伝えするルイ・ヴィトンの偽物ノウハウは、大黒屋が長年積み上げてきた知識と経験をもとに作られています。
とくに今回は、本物と見比べて明らかに違うというチェックポイントを抜粋して紹介していきましょう。
本物のお品物であっても、偽物と酷似する特徴があるかもしれませんが、あくまで総合的な判断となりますのでご安心ください。
ぜひお手元にルイ・ヴィトンを準備して、探偵になったつもりでお調べになってみてください。
この記事がすべてのルイ・ヴィトンユーザーに届くことを願っております。
それでは本編へまいりましょう。
中村:経験豊富なベテラン査定員。「初心忘るべからず」の生真面目な性格。
堀井:リサイクルショップでのバイト経験あり。
どんな品物でも対応できる万能査定員。陽気なイジられキャラ。
堀井
中村さん!ちょっとこのヴィトンの財布をみてください!
中村
どれどれ、ルイ・ヴィトンのポルトフォイユ・クレマンスだね。
堀井
どうも偽物のような感じがするんですが・・・。
中村
(・・・沈黙)
堀井
どう思いますか?
中村
これは・・・、偽物だな!
堀井
え!?なんですぐにわかるんですか!?
中村
まぁ、査定歴13年の経験と知識だね。フフン。
堀井
さすが!
中村
しかし、最近の偽物は進化しているから、本物と見分けがつかないものも多いよ。
堀井
偽物も進化しているんですね・・・。
中村
昔の偽物と言えば、へっぽこ職人が本物の真似をして作っているだけだったから、すぐに偽物だとわかったけれど、今の偽物はマシンによって精巧に作られているから仕上げもキレイなんだよね・・・。
堀井
偽物にも技術革新が・・・。
中村
とりあえず、社内にある本物のポルトフォイユ・クレマンスを持ってきたまえ。
それと比べて検証してみよう。
堀井
本物のポルトフォイユ・クレマンスの新品を用意しました!
中村
この花の付いたポルトフォイユ・クレマンスは2018年新作の財布だから、偽物も新作なんだよなぁ。
これは見抜くのが難しそうだ・・・。
堀井
パッと見はどちらが偽物かまったくわかりませんね。
中村
まずは表面のモノグラムの柄から見てみよう。モノグラム(※)のプリントの位置で、偽物とハッキリわかることがあるんだ。
(※)モノグラム
「LV」マークと家紋をイメージした花を散りばめた、ルイ・ヴィトンの革製品にあしらわれている柄。
中村
ルイ・ヴィトンのバックや財布は、モノグラムの柄の位置・・・どの柄がどこにくるか99%決まっている。
財布の上部に注目したまえ。
中村
偽物は、財布の上部に花びらの端がちょっとだけ入ってしまっている。
堀井
ホントだ!偽物は花びらの柄が上からはみだしています。
でも本物はキレイに柄がおさまっていますね。
中村
本物ならば、財布の面にモノグラムのプリントが上下左右ともシンメトリーになるように、バランスよくカットされているはずなんだ。
偽物は微妙に柄の配置がずれていることが多いんだよね。
中村
表面のPVCキャンバス(※)のプリントを見てみよう。
(※)PVCキャンバス
ルイ・ヴィトンの革製品に使用されている人口の革。天然の皮ではなく、布に特殊なコーティングが施されている。
中村
ではモノグラムの「LV」マークに注目してみて。
堀井
たしかに、偽物のほうは全体的にプリントがハッキリしておらず、ぼんやりしていますね。(※)
中村
色が濃いところと、かすれそうなくらいに薄いところ・・・、ムラがあるよね。
堀井
対照的に、本物は柄も文字も均一にプリントされてムラがありませんね。
中村
こういった点を比較すると、偽物は雑に作られているということがわかるよね。
(※)使用していると表面のプリントがかすれてくることがあるので、中古品の場合は偽物とは限りません!
中村
次に花のアクセサリーに注目しよう。
堀井
花のアクセサリーは、ポルトフォイユ・クレマンスの一番の特徴でもありますね。
中村
まずチェーンを見比べてみよう。
堀井
あっ!チェーンの長さと輪の大きさが、偽物と本物でまったく違いますね!
中村
一目でわかるよね(笑)
堀井
なぜ、偽物は明らかに偽物とわかるチェーンを使っているんですか?
中村
本物のルイ・ヴィトンは、そのモデルだけに使われる専用のパーツを特注で製造している。
でも、偽物はそのパーツが手に入らないから、汎用パーツを使用しているんだろう。
堀井
偽物は材料費をケチっているんですね。
中村
続いて、花の金具が取り付けられている輪の金具も比べてみて。
中村
一見わかりにくいけれど、本物と偽物では違うものが使われているんだよ。
堀井
本当だ!偽物はよくありそうな金具を使用しているけれど、本物は珍しい金具を使っていますね。
中村
本物は、ひとつのパーツではなく、平たい金具の上に別の金具を組み合わせていて、手が込んでいるね。
おそらくこのパーツも、ポルトフォイユ・クレマンスのオリジナルのパーツなんだと思うよ。
堀井
やはり、偽物はコストをおさえるために、市販のパーツを使っているんですね、
中村
さらに、花の周りを縁取っている、黒い部分に注目してみよう!
堀井
あ!偽物は赤い塗料が黒い部分にはみ出していて、仕上がりが雑ですね!
中村
本物のほうが、赤と黒の塗料がキレイに塗られていてメリハリがあり、完璧な仕上がりだよね。
こういう部分は職人が手でやっているから、技術の差が出るんだよね。
堀井
偽物の職人は、本物の職人の技術に追い付いていないということですね。
中村
さらに、花の真ん中についている金のボタンに注目してみよう。
中村
1センチ弱の小さなボタン部分を、ルーペで拡大してみたものがこちら!
堀井
本物と偽物を見比べると、本物のほうがずいぶん傷がありますね
中村
偽物のほうがキレイだよね。
本物は表面がボコボコして、偽物に比べるとキズが多い。
堀井
この部分だけ見ると、偽物のほうを本物と思ってしまいそう・・・。
中村
本物も新品だから、経年劣化のキズではなく、最初からこの状態なんだよ。
堀井
そうなんですね!横から見てみても、偽物のほうがキレイです。
中村
では『LOUIS VUITTON』の文字に注目してみて。
本物の文字は、彫ったものではなく、金属を型に流し込んで固めて作っているんだ。
堀井
では、表面のザラザラは型に流し込んだ時にできた【独特の粗さ】なんですね。
中村
それに対して、偽物の刻印はレーザーで彫られたようで、不自然なほどキレイに整っている。
堀井
本当ですね。たしかに気持ち悪いくらいキレイです。
中村
最近の偽物は、機械仕上げのせいで、こんな風にキレイに仕上がってしまっているんだよね。
堀井
なるほど・・・。
なかなか見分けるのが難しいですね・・・。
中村
昔のヴィトンの偽物は、こういう文字の書き方が雑で、ボタンの形そのものも変だったんだけどね・・・。
最近は『不自然すぎるくらいキレイなのが偽物の特徴』になってきているんだよ。
中村
次は側面から財布を見てみよう。
堀井
一見すると、偽物も本物も変わりないように見えますが・・・。
中村
いや、そんなことはない。
側面にも偽物を見分けられるポイントがたくさんあるんだ。
中村
まずは本物と偽物の厚さを比べてみよう。
堀井
偽物のほうが、少し分厚いですよね。
中村
本物のほうがシャープなんだよね。
堀井
なぜですか?
中村
おそらく、偽物は採寸し尽くされていないんだ。
素材の革や布を緻密に縫い合わせていないから不格好になってしまうと考えられる。
堀井
なるほど。
中村
革の端を赤いロウで縁どっている、コバ(木端)処理と呼ばれるところを見てみよう。
(※)コバ(木端)処理
革の劣化が進行しないように革の端をロウで縁取ること。
堀井
たしかに、本物はロウのコバ処理が均一で、赤いラインが一直線に描かれていますね。
中村
偽物はフチが凸凹している。一直線ではなく、まっすぐになっていない。
重ねて比べるとよくわかるよね。
堀井
これは職人さんが手でコバ処理しているんですよね。
だとしたら、かなり卓越した技術が必要ですね。
中村
おそらく偽物は機械処理でやっている可能性が高いよね。
中村
今度はファスナーの付け根の部分に注目。
堀井
そもそも使われているパーツが違うようですが、これだけだと見分けがつきません。
中村
堀井!修行が足りん!
穴があくぐらいに金メッキされた表面を見てみるんだ。
堀井
すっ・・・すみません!
どっ・・・どれどれ・・・。
中村
偽物をよく見ると、メッキの塗りが甘いので、表面が波打っているんだ。
ファスナーの輪が取り付けられている部分をよく見ると、映り込んでいる風景がゆがんでいるのがわかるかい?
堀井
たしかに目を凝らして見ると、偽物は映り込んでいる風景がゆがんでいますが、本物はゆがみがありませんね。
中村
金メッキもルイ・ヴィトン職人がこだわり抜いている点のひとつ。
しかし、偽物はそこまで手間をかけていたらコストがかかってしまうから、こういうところまでは力を入れてないんだな。
中村
次にファスナーの最後の部分、ファスナーエンドを見てみて。
堀井
パッと見、違和感がありませんが・・・。
中村
堀井、まだまだだな。よく比べてみるんだ。
偽物はファスナーエンドが端までたどり着いてないんだよ。
堀井
本当だ!偽物にはすき間があります!
中村
本物はこのモデル専用の特注ファスナーを使用しているので、このように余りが出ることはない。
堀井
これも偽物は汎用のパーツを使用しているから、サイズが合わなくなってしまうんですね!
中村
今度は、ファスナーを開けて中身を見てみよう!
中村
ここも先ほどと同じ点に目を止めてみよう。
ファスナーを開けた時、最後に『V』が達する部分、ファスナーエンドに注目するんだ。
堀井
どれどれ・・・。
堀井
あ!このファスナーも偽物はエンド部分が足りなくなっていますね。
中村
先ほどと同じように、偽物はサイズの合わないファスナーを使っているようだね。
中村
今度は内側のファスナーの反対側、ファスナープル(ファスナーの取っ手)に注目。
堀井
これも一見、違いが判りませんが・・・。
中村
バカモン!
このファスナープルも金属を型に流し込み固めて作っているようだが、アップで見てみると・・・。
堀井
あっ!これも本物より偽物のほうがキレイに仕上がっていますね!
中村
そうなんだよ。
本物は表面がクレーターのようにぽつぽつとした穴があいているけれど、偽物は色も表面もキレイだよね。
堀井
これもさっきと同じように、偽物のほうがキレイすぎるパターンでしょうか。
中村
そうなんだよ、見比べなければわからないけどね。
堀井
LVマークも微妙に違う気がします。
中村
その通り!『LV』のマークは本物のほうがシャープ、偽物はローマ字がふっくらしている。
ただ、見慣れていないと、このロゴを偽物と見破ることは難しいな。
中村
次に財布の中を見てみよう。カードスリット(クレジットカードやポイントカードを入れる部分)の下に注目。
堀井
金の刻印の場所が微妙に違いますね。
中村
偽物のほうがカードのスリットに近いよね。
堀井
でも・・・、この偽物をだけを見せられたら、どの位置が正しいかなんてわかりませんよ!
中村
そうだね。この位置に関しては、本物と比べなければ見分けがつかないと思う。
堀井
金の文字も、一見すると偽物のほうがとてもキレイに仕上がっているように見えますね。
中村
偽物は文字がハッキリしているし、レベルも高い。
堀井
文字をプレスしたくぼみの上からさらに、金箔の様なものをプレスしているので、かなりの職人技が必要です。
中村
でもね、偽物は『made』の文字が金の塗料がはみ出している。
こういうはみ出し方は本物にはありえない。
堀井
でっ・・・でも、本物もやや文字がゆがんでいますよ!(笑)
中村
刻印は、昔から偽物を見分けるポイントとして有名だからね。
最近の偽物職人は、それを知ってか、この部分に力を入れて作っている感じがするよ。
堀井
これは見分けるのが難しいな・・・。
中村
これは先ほどとは反対側のカードスリットの部分。
中村
この縫い目に注目したまえ。
中村
偽物の上部の縫い目、縫い方が甘いよね。
堀井
たしかに、偽物はすぐにほつれてしまそうな弱々しい縫い目ですね。
中村
おそらく下の縫い目と同じ強さで縫っていると思われるが、革2枚と、ファスナーの布と合わせて縫わなければならないので、本来は縫い方を変えないとダメなんだ。
しかし、偽物はそういう調節をしてないんだよ。
堀井
本物は、上の縫い目も、下の縫い目もしっかり縫われています。
中村
機械縫いなんだろうけど、ちょっとしたこだわりが偽物にはないんだよね。
中村
そうそう。
ポルトフォイユ・クレマンスには、財布の内側に製造番号が入っているんだ。
堀井
どの部分にですか?
中村
左側のカードスリットが付いた仕切りをめくったところの内側にあるはず。
堀井
本物にはありますね!【GI2148】と書かれています!
でも、偽物には見当たりません!
中村
この【GI2148】は製造番号。
ローマ字が『製造された国』、4ケタの数字が『製造された年月』を表しているんだ。
堀井
あっ!偽物はファスナーエンド側ではなく、ファスナープルがあるほうに製造番号が入っていますね!
中村
【GA0127】という製造番号が書かれているね。
中村
本物なら、ファスナープル側に製造番号が書かれていることはないんだよね。
製造番号の記された位置でこれは偽物だという確信に近づく。
堀井
製造番号が刻印された位置が問題なんですね。
中村
ポルトフォイユ・クレマンスの製造番号は、必ずこのファスナーエンドの内側に製造番号が書かれているんだ。
中村
ごくまれに、製造番号の位置を変えることがあるけど、それは大掛かりなマイナーチェンジを行う時だけ。
現行モデルでは、この位置から変わることはないはずだよ。
堀井
最後は、付属の布袋を見ていきましょう!
中村
本物と偽物、並べるとすぐにわかるね!
堀井
ロゴの大きさがまったく違います(笑)!
堀井
並べてみると、文字サイズの違いが一目瞭然ですね。
中村
文字の大きさだけじゃないよ。
中村
文字のプリント技術が、偽物のほうは圧倒的に劣っているね。
堀井
たしかに、偽物のほうは文字のインクがにじんでしまっています。
中村
ルイ・ヴィトンに限らず、こういう布袋のロゴの『にじみ』や『かすれ』は、ほかのブランド品の偽物でもよくあることなんだよね。
堀井
これで今回のポルトフォイユ・クレマンスは偽物だということがわかりましたね!
堀井
今回の偽物のポルトフォイユ・クレマンス、かなり手強い相手でしたね。
中村
たしかにそうだね。
最近は偽物がレベルアップしていると感じたよ。
堀井
今回は、本物と比較しながら偽物かどうかを検証していきましたが、もし本物が手元になかったら、判別が難しかったでしょうね。
中村
とくに最近の偽物はキレイに作られているから、ひとつのポイントだけでは判断のしようがない。
ただ、偽物はコストを抑えないと赤字になってしまうから、どこかに必ず本物に劣る部分があるはずなんだよ。
堀井
どんなに細かくても、偽物が疑われる点を積み上げて、真贋を判断すること大事ですね。
堀井
もう一件、こちらのバッグもご覧いただきたいのですが・・・。
中村
ふうむ、これは『パームスプリングス バックパック』だね。
中村
実用的なルイ・ヴィトンのバッグとして、女性に大人気だよな。
堀井
左が本物、右が偽物の疑いがあるお品なんですが・・・。
中村
フムフム。
堀井
わかりやすいように、わざと違うサイズのものを用意しています(偽物だからサイズが大きいという訳ではありません!)。
小ぶりなのがPMサイズで、一回り大きいのがMMサイズです。
中村
うーん、これは確実に偽物の香りがするね!
堀井
ゴクリ・・・。
中村
ではこちらもモノグラムのプリントから見てみようか。
堀井
先ほどは、偽物のほうがプリントの柄がハッキリしておらず、ぼんやりしているというお話でしたが・・・
中村
うーん、この偽物の場合は違うな・・・。
中村
今回の偽物は、むしろモノグラムのプリントがハッキリしている。
堀井
たしかに・・・
中村
わざとらしいほどにハッキリしたプリントも偽物を疑うべきなんだ。
堀井
そうなんですね!
中村
偽物といっても、さまざまな地域で作られているからね。
プリントがハッキリしているから本物とは限らないよ。
堀井
なるほど。
中村
お次は表面のポケットに付いているタグを見てみよう。
中村
こちらの『LOUIS VUITTON』と印字された三角の革のタグ。
堀井
2つを比べると、タグの形状や文字の雰囲気が違います。
中村
そうだな。
ただ、これらを別々に見ると、一見偽物とはわかりにくい。
堀井
そうですね。
中村
しかし、偽物のほうを見たまえ。文字が縦長になっている。
堀井
はい、文字が全体的に間延びしている印象です。
中村
本来、『O』の文字が真円になっているはずだが、偽物の『O』は楕円形だ。
堀井
たしかにそうですね。
中村
それから、もうひとつ、とっておきの見分け方を教えよう!
中村
本物はRマーク(Registered Trademark)の『○(丸)』の大きさと『LOUIS VUITTON』のロゴの『O(アルファベットのO)』の大きさがほぼ一致しているはずだ。
堀井
なるほど!
偽物は、Rマークの『○(丸)』と、『LOUIS VUITTON』のロゴの『O(アルファベットのO)』の大きさが違います!
中村
本物は、こういった点もバランスよく見えるように作られている。
偽物にはそういう細かい配慮が感じられないな。
堀井
それからよく見ると、タグの端の部分の厚さが本物と偽物で違いますね。
中村
よくぞ気がついた!
どちらも革の端がほつれないように、ロウで固めるコバ処理が行われている。
堀井
偽物のコバ処理はロウがはみ出して、分厚くなっていますね。
中村
しかし、本物はコバ処理されたようには見えず、スマートな仕上がりだ。
中村
今度はタグの裏側を見てみよう。
堀井
革の表面、本物は滑らかに仕上げられているけれども、偽物はザラザラなままですね。
中村
このタグは人工ではなく、動物の革が使われているが、偽物は加工が雑だね。
堀井
やっぱり、偽物は見えないところは手を抜いているんですね。
中村
それから、偽物は黄色い接着剤がはみ出して、糸を引いているような状態になっている。
堀井
うわっ!本当だ!
接着剤の黄色い色までわかりますね・・・。
中村
本物も接着剤を使用しているものの、そうとはわからないようにキレイに処理している。
堀井
偽物は見えないところにアラが隠れているんですね。
中村
続いて、リュックのファスナープルの金具を見てみよう。
中村
よし!
まずは金メッキの技術を見極めてみたまえ!
堀井
うーんと、偽物は金メッキの塗りが甘くて、金属の表面に映る風景がゆがむんですよね?
堀井
(ファスナーを観察)
うーん、この偽物は金メッキにゆがみがありませんね。
本物同様、キレイにメッキされているようです。
中村
うむ・・・。敵もなかなか手ごわい。
それならば、今度は『LVマーク』に注目してみたまえ。
堀井
あっ!
偽物と本物の『LVマーク』の太さが微妙に違います・・・!
中村
うむ、『L』と『V』は明朝体で、どちらも左側の線は太く、右側の線は細くなっているはず・・・。
堀井
偽物は文字の太さが左も右も同じ!
中村
太さのメリハリがない場合は、偽物の可能性が非常に高くなるね。
中村
今度はファスナープルを斜めから見てみよう。
中村
刻印の溝をよく観察してごらん。
堀井
うーん・・・。
溝のどこがアヤシイのですか?
中村
まだまだ甘いな堀井!
偽物は段差部分がギザギザして、荒く削られているのがわからんか!
堀井
本当だ・・・。
本物は溝が滑らかです。
中村
この部分は金属に『LVマーク』をプレスしてから、溝を滑らかにするために磨きをかけるんだろう。
偽物はメッキ工程の数が少ないか、高度な技術がないのだろうな・・・。
堀井
こんなところも本物と偽物には違いがあるんですね。
中村
お次は持ち手のハンドル部分を見てみよう。
堀井
ハンドル部分を比べると、明らかに本物と偽物では厚みが違いますね。
中村
うむ、本物は中に詰め物がされていて、持ちやすくふっくらとしている。
堀井
偽物は厚みがなく、ペタンとしていますね。
中村
バッグのパーツで最も劣化しやすい部分の一つだから、持ちやすく、崩れにくいように作らなければいけないところなんだが・・・。
堀井
このハンドル部分の素材はなんですか?
中村
おそらく偽物のほうは合皮を使っているのだろう。
本物は動物の革を使用している。
堀井
合皮だと、いずれ表面が剥がれてくるかもしれませんね。
中村
ハンドルの内側も見てみたまえ。
堀井
うーん、これは・・・(偽物の内側をまじまじと見る)
布の切れ端の部分が、縫い合わされていません!
中村
この状態では、ハンドル部分の詰め物がいずれはみ出してくるだろう・・・。
堀井
本物は丁寧にしっかりと縫い合わされています。
中村
こういった見えづらい部分ほど、きちんと作られているのが一流ブランドの証拠なんだ!
堀井
偽物を見分けるには、人がなかなか見ないところをチェックするのがポイントなんですね!
中村
お次は、リュックを背負う時に肩へかける、ショルダーストラップを見てみよう!
堀井
偽物と比べると、本物は詰め物がしっかり入っていて、ピンとしていますね。
中村
肩に負担がかからないように、ショルダーストラップにも、クッションが入れられているんだ。
これなら革へのダメージも少なく、長持ちしやすい。
堀井
偽物はダランとしてしまりがない感じ・・・
中村
うむ。
横からも見てみたまえ。
堀井
ううっ・・・。
偽物のショルダーストラップには綿もなにも入ってなさそう。ペタンコです。
中村
これだと、背負った時に肩に負担がかかるだろうね。
偽物は使いやすさをまったく考えてないから。
中村
さらにショルダーストラップの裏側から、付け根の縫い目部分を見てみよう。
堀井
うわぁ・・・、偽物は付け根の縫い目もガタガタ・・・。
中村
そうなんだ。
縫い目が弱いから、使っているうちにこのショルダーストラップはいずれ取れてしまうだろう。
堀井
耐久性がないのは問題ですね。
中村
本物は、バッグ本体から出ている布をショルダーストラップの内側に巻き込んだうえで、さらに太い糸で縫い合わせている。
これならほつれることはないだろうね。
中村
今度は、リュックのストラップの長さを調整するベルト部分に注目してみよう。
堀井
長さを調整する金具の部分ですね。
中村
堀井!ルーペを使え!
ルーペで拡大して見てみるんだ!
中村
先ほどの財布もそうだったが、金属の表面に小傷があるのが本物だ。
堀井
表面がザラザラしているのは、金属を型に流し込んだ時にできる【独特の粗さ】なんですよね。
中村
うむ、偽物のほうが表面はツルツルしている。
しかし、文字の掘り込みをよく見ろ。
堀井
うーん・・・(ジッと見る)
中村
偽物は文字の掘り込みがガタガタで、しっかり刻印されていないのがわかるかい?
堀井
本物と見比べないとわかりにくいですが、いわれてみれば・・・
中村
よおく見てみろ!
丸い金具だから、掘り込みを入れるのが難しいのだろう。
刻印の深さが均一になっていない、深くなったり浅くなったりしている。
堀井
なるほど。
均一に刻印を押すには、高度な技術が必要だと。
中村
今度はこの金具の裏側を見てみよう。
堀井
あれ?
偽物は金具が表面に露出しています!
中村
そうなんだよ。
本物は金具が見えないように内側に隠しているのにね。
堀井
やはり金具が見えていると、見た目がよくないからでしょうか?
中村
いや、ネジを表面に露出させてしまうと、服や肌を傷つけてしまう危険があるからだ。
本物はそういう配慮をキッチリしている。
堀井
偽物はプラスネジが堂々と表に出ていますね。
中村
そもそも、プラスネジがルイ・ヴィトンの本物で使用されることはまずありえない!
堀井
高級ブランドのルイ・ヴィトンがプラスネジってなんかミスマッチですものね(笑)。
中村
お次はベルトの穴を見てごらん。
堀井
ありゃりゃ・・・、
偽物は穴あけパンチで開けたように端がほつれそうです。
中村
うむ。穴の周縁がキレイに開いていない。
堀井
それに比べて、本物の穴はキレイに開いています!
中村
ファスナーを開けて、今度はバッグの内側を見てみよう。
堀井
明らかに素材が違いますね。
中村
本物はコットンを使用していて、布地にナナメの線が入っている。
堀井
偽物はコットンの素材に似せているようですが、ナイロンの素材でしょうか。
中村
ルイ・ヴィトン製品の内側にナイロンを使用するなんて、まずあり得ない・・・!
堀井
一気に偽物っぽくなりますものね~。
中村
今度は内側のタグをよーく見てみよう
中村
先ほど紹介したポケットのタグのように、『LOUIS VUITTON』の『O(アルファベットのO)』の丸の大きさと、Rマークの『○(丸)』の大きさを見てみよう。
堀井
本物の『LOUIS VUITTON』の『O(アルファベットのO)』の丸の大きさは、Rマークの『○(丸)』の大きさと同じですね。
やっぱり!
中村
でも、偽物は両者の大きさが微妙に違う。
堀井
それに偽物は、Rマークの文字もなんだか不格好ですね。
中村
偽物もがんばっている(?)とは思うけれど、『VUITTON』」の『N』の文字がつぶれちゃているんだよな・・・。
中村
さらに、タグの縫い目もよく観察してみよう。
中村
本物の縫い目はすべての長さが均一になっているのに対し、偽物は端っこの縫い目がわずかに短かい。
堀井
本当ですね!
中村
ルイ・ヴィトンのタグはどれもこの縫い目幅が均等のはずだから、幅が違うってことはゼッタイにないんだ。
堀井
偽物は、淵から縫い目までの幅も微妙に違うところがありますね。
中村
ここも偽物はミスしている。
こんなバランスが悪い状態は、本物ではあり得ない!
堀井
やっぱりルイ・ヴィトンの職人ってスゴイですね・・・。
堀井
最後に、この偽物バッグには説明書のような保証書のようなものが付属しているのですが・・・。
中村
ハッハッハッ!
中村
上の写真のような説明書やカードは本物のルイ・ヴィトンには存在しない。
堀井
それらしく見せるために、作ってしまったんでしょうかね。
堀井
たしかもっと小さな書類が付属しているルイ・ヴィトン製品はあったような気がします。
中村
うむ。
しかし、こんな冊子やカードは、どんなルイ・ヴィトン製品を購入しても付属していない。
堀井
しかも、文章も変なんですよ・・・。
堀井
ルイ・ヴィトン製品について真面目な文章が書かれていそうなんですが・・・
中村
フムフム。
堀井
カタカナがおかしいんですよね。
『ファッション』や『コレクション』の『ン』の文字の点がない。
明らかに外国人によって作られているかと。
中村
間違いないな。
堀井
わざわざこのような付属品を付けているルイ・ヴィトン製品は、偽物ですから気をつけましょう!
堀井
このほかに、ルイ・ヴィトンの財布の偽物を見分ける方法はありますか?
中村
ファスナーのなめらかさや、開けやすさなども注目点だ。
堀井
ルイ・ヴィトンの職人たちは、使いやすさにこだわって作っていますからね。
中村
それから、ニオイもポイント。
偽物は接着剤や鼻をつく合皮のニオイを放っていることが多い。
そんなニオイは本物ではありえない。
堀井
たしかに本物は変なニオイがありません!
中村
そして、購入した店舗も重要なポイントだね。
正規店以外のお店やインターネットで個人から購入したものは、一度は偽物を疑ってみるべきかもしれない。
堀井
「人から頂いたものなんだけど・・・」「並行輸入品で買ったんだけど・・・」ということで大黒屋へご売却に持ち込まれて、実は偽物だったということもありますからね・・・。
中村
ときどき、レシートのようなものを付属させ、『海外の正規店で買った証拠』として付けて販売している不届きな輩がいるらしいけれど、そのレシートも偽造されたものだから注意しなきゃならない。
堀井
そういうレシートって、金額やお店の名前のようなものが、英語・中国語・韓国語などで書かれているから、それっぽく感じてしまうんですよね・・・。
中村
ルイ・ヴィトンの革製品は保証書がないから、そういうものが出回るんだろうね。
堀井
フリマアプリなどで、相場よりも安く売られているものは、偽物の可能性も高いので、注意していただきたいですね。
中村
いかがでしたか?
最後に今回ご紹介したルイ・ヴィトンの真贋を見分けるポイントをおさらいしてみましょう。
中村
お手持ちのルイ・ヴィトンが偽物ではないかと思ったら、ぜひこちらのチェックリストを参考にお調べになってみてください。
何よりもまず「偽物をつかまされない事」が大事です。偽物単体で偽物と見抜くのは容易ではありません。
あなたが安心してルイヴィトン製品をお使い頂けることを願っております。