富永：どれどれ？（時計を見て）私の感じでは・・・ちょっと怪しいわね・・・。

富永：私の第六感ね！もちろん、きちんと査定させてもらわないと、断定はできないわ！

富永：最近のロレックスの偽物はとってもよくできているから、少し見ただけでは偽物かどうかわからないわよね。

富永：いくつかポイントをおさえれば、見分けられなくもないと思うけど。

富永：私はまず、時計の顔から見るわね。

富永：私はこんな感じで、偽物かどうかチェックしているの。

富永：本物がそばにあれば、見比べるのがベストだけど、普通の人はないわよね。

そういう時は、状況証拠を積み上げていくといいと思う。

富永：一箇所でも偽物と断定できる部分があればストライク、二箇所目が見つかれば2ストライク、三箇所目で3ストライク、アウト、偽物確定。

という風に状況証拠を積み上げていくの。

富永：今回はこのロレックス サブマリーナデイトを例にしましょう。本物を用意するわね。

富永：左が本物。右は堀井がさっき持ってきた偽物かもしれないサブマリーナデイトね。

富永：そうかもしれないけど、まずはパッと見で違和感がないか判断することが大切ね。

富永：そう、「わずかでもこれは偽物じゃないかな？」と思うなら、その直感を大事にしたほうがいいと思う。

富永：ええ。偽物は本物を真似して、偽物の職人が作っている。

だから、偽物の時計はどこかバランスが悪くて、パッと見でも違和感を抱くことが多いのよ。

富永：（苦笑）正直、この偽物はなかなかよくできていると思うわ。でもやっぱりなんとなく違うと思ったわね。

富永：まずは時計に触れたり、実際に身につけてみて。

富永：フリップロックは時計のブレスレットの付け外しをする部分ね。

それなら、その裏側をよく見てみて。

富永：うん。フリップロックのヘリ、ブレスレットを外して腕にまく時に、最初に開いたところがバリでボコボコしてる。

富永：本物はキレイに面取りされているけれど、バリが残ってしまうのは偽物の証拠。

富永：横から見ても、偽物だとガタガタしていて、ラインが一直線になってないのがわかるわよね。

富永：じゃあ、よく見てみましょう。

富永：ここも手首に当たる部分だから、キレイに仕上げなければいけないのにね。

富永：こんなかんじで、偽物は身に着けると痛いことが多いのよ！

本物を作る職人さんは使い心地まで考えて作っているから、そういうことは絶対にない。

富永：ブレスレットの長さを調節するコマ部分のスクリューネジを見比べてみて。

富永：本物でこんなスカスカはあり得ないわよね。

富永：ネジ穴のすき間やバリは、多くの偽物に共通している特徴。

富永：もう一つ、偽物の特徴。

変な刻印が裏側に入っていることがあるわ。

富永：金でもないのに、金を表す「K18」「750」「天秤マーク」「女神の横顔マーク」が入っていることがあるのよ。

富永：そう。こういうステンレス素材なのに、金を表す刻印が入っていることがあるのよね。

富永：今回の偽物にはないのだけれど、ネジ穴の隣あたり。

富永：次は文字盤に書かれた文字を見てみましょう。

本物と比べて、文字にシャープさがない場合、偽物を疑っていいわね。

富永：偽物の「R」という文字の左上をルーペでよーく見てみて。

富永：ほかにも偽物は「R」の左面とか「O」の左面とか、文字がぼんやりとしていて、にじんでいるように見えるわね。

富永：偽物は文字の太さが均一に描かれていなかったり、にじみやかすれがあったりするのよね。

富永：この偽物の「ROLEX」の文字、まだまだ怪しいところがあるわね。

富永：「R」の斜めの線が、やや短いかな・・・と思うわ。

富永：本来なら、「ROLEX」という文字の下が一直線にそろわなければいけないのに、偽物は「R」が短いせいで、足が届いてないような感じ（笑）。

富永：たしかに違うけど、この時計の場合、王冠の形だけで偽物と判定するのはかなり難しいと思うわ。

富永：公式ホームページに掲載された王冠マークを見て偽物かを判断するのは、あまりオススメできないかな。

王冠マークは年代やモデルによって変化しているから。

富永：そのほかに文字盤の中で注目したいのは、時計の「6時」部分にある、王冠マークの透かしね。

富永：本物、しかもシルバーや白の文字盤だと、斜めからルーペを使って、うっすらと見える程度。

黒い文字盤でも正面からうっすらと確認できる程度のはず。

富永：透かしは見えすぎてしまうと、時計の文字盤を見るのに邪魔になるからダメね。

富永：そう、この透かしマークをロレックスがはじめたのが、1999年のヨットマスターから。

2003年ごろには、すべてのモデルに透かしマークを入れているわね。

富永：2018年に発表された新作から、文字盤6時位置の「SWISS MADE」という文字に王冠マークを入れるようになったわね。

富永：まず自分で短針や長針を回してみて、スムーズに動くか、変な違和感がないか、確認したほうがいいわね。

私は必ず、日付が変わるところまで針を回してみるわ。

富永：そう。たとえばデイトジャストは、12時ちょうどでカレンダーの日付が変わる時に、「カチッ」という気持ちのいい音がするように作られている。

富永：それから回転ベゼルを回してみて。

富永：うん、手で回す感じもスムーズにいくわよね。

富永：そうなの。偽物はスムーズに回らなかったり、変な音がしたりするのよ。

それから、ベゼルが右にも回るか確認してみて。

富永：それなら確実に偽物ね！

ダイバーズ系の時計（サブマリーナ・シードゥエラー・ディープシー）の場合、ベゼルは左側にしか回らないように作られている。

でも、偽物は右にも左にも回ってしまうの。

富永：偽物はそういうロレックスならではのこだわりを、すべて無視しているからね～。

富永：インターネットの個人売買や正規店以外のお店には、偽物が出回っていることは事実ね。

富永：インターネットのフリマアプリなどの個人売買でロレックスを購入すると、偽物だったという話をよく聞くわね。

富永：一般の方が購入する前に、フリマアプリの写真だけで偽物かどうか判断するのは難しいと思う。

富永：ロレックスの正規店はもちろん、店舗をきちんと構えている中古店で購入するなら問題ないと思う。

一方で、路地裏にある怪しいお店で買ったロレックスは100%偽物と思うべきね（笑）。

富永：ないわね！私は海外旅行した時、職業柄、時計屋さんを偵察しているんだけれど・・・。

富永：路地裏の怪しいお店で本物を見たことはほぼないわね。

富永：中国とフィリピンの路地裏のお店ではけっこう偽物を見たかな。

中国の深セン（しんせん）駅には、偽物のロレックスのみ売っているお店があった（笑）。

富永：香港は世界最大のロレックス出荷国なので、正規店も中古店も多いから、一定の信頼はあるかな・・・。

まあ、香港の裏路地のお店では、やはり偽物を見かけたけどね。

富永：とはいえ、日本国内にも偽物を扱っているお店はあるから、あまり路地裏の怪しいお店を利用しちゃダメね。

富永：私にもよくわかないなー。
でも、大黒屋に持ち込まれるロレックスのうち10個中1つくらいは偽物が含まれているような・・・。

富永：うん。時計を見ただけで、すぐに「偽物だ！」ってわかるジャンク品もあれば、細かいところまで見なければ偽物とはわからないものもある。

富永：それでも偽物かどうかわからないという場合は、いつでも大黒屋にご相談くださいね。