オーデマピゲ
なぜ、ロイヤルオークエクストラシンとノーチラスは即買いなのか?
安く買ったのに高く売れる 「ブレる時計」
ときとして、株や不動産は大きな売却益をもたらしますが、同じく時計も私たちに大きな利益をもたらすことがあります。
売却時に利益をもたらす時計、それを私たちの会社では「ブレる時計」と呼んだりしますが、何が「ブレる」のか?それは買値と売値のブレです。
買値と売値が大きくブレればブレるほど、利益は大きくなります。
「ブレる時計で儲けられるのは、ババヌキと同じ法則なんですよ!」
そう語るのは大黒屋ベテラン査定員の瀧正貴。
今回は高級時計の「ブレ」の仕組みと、瀧イチオシの「ブレる時計」について詳しく語ります。
ブレる時計とは?
― 「ブレる時計」とは、どういう意味ですか?
「ブレる時計」とは、中古市場において、売値と買値に10~30万円以上の幅が出る時計を指します。
業界で使われている言葉ではなく、私が命名した用語ですので(笑)、大黒屋社内の一部でしか使われていません。
たとえば、110万円で購入した時計が、130万円で売れる…すると20万円の儲けが出ますよね。
それがブレる時計です。
ただし、高級時計を手放すときに、10~30万円以上の儲けが出ることはほとんどありません。
「ブレる時計」は中古市場にわずかしかないのです。
そんな「ブレる時計」を私たち時計マニアは日々狙っています。
― 今(2017年7月現在)「ブレる時計」は、どんな時計ですか?
私が今「ブレる時計」として挙げるなら、世界三大時計ブランドにあたる、オーデマピゲとパテックフィリップのうち、以下の2つのモデルですね!
【オーデマピゲ ロイヤルオーク エクストラシン10520系】
型番(現行モデル):15202ST.OO.1240
ロイヤルオークは1972年に誕生したオーデマピゲのアイコンともいえるモデル。
八角形のベゼルが特徴。エクストラシンは同モデル誕生40周年を記念して作られたもの。
ケース幅は39mmと大型で、厚さは8.1mmと従来より薄くなり、文字盤のデザイン、バックス、表面の仕上げ等もより洗練されたものとなっている。
【パテックフィリップ ノーチラス】
型番:5711‐1A
1976年に誕生したモデルで、ケースの形は潜水艦「ノーチラス号」の舷窓をイメージしたもの。今年(2017年)で40周年を迎え、サイズや材質には多彩なバリエーションがある。
― この2つは、売値と買値がブレているんですか?
はい。まさにブレまくっていますね!!
オーデマピゲ ロイヤルオーク エクストラシンの現在(2017年7月)の中古価格が250~260万円。
このままでは300万円まで行くののではないかという時計です。
220万円のころに購入した方はラッキーですよね。
2012年に発売された同モデルは、今後減産の可能性が高く、一層価格の上昇が見込まれます。
ちなみに、ロイヤルオークの旧モデルにあたる15202ST.OO.0944ST.03(通称ジャンボ)も根強い人気があり、こちらもブレる時計と言っていいでしょう。
パテックフィリップ ノーチラスは、定価が300万円くらいですが、現在の中古価格は380万円!
定価を大幅に超えてブレています。
― ちなみに、オーデマ、パテックと並んで、「世界三大時計」と呼ばれているヴァシュロンコンスタンタンはブレる時計にならないのでしょうか?
ヴァシュロンコンスタンタンにも、オーバーシーズというステンレスの最新モデルがあります。
残念ながら、こちらの中古価格は定価を下回っていますね。
ヴァシュロンコンスタンタンは、世界三大時計と言われているものの、オーデマピゲとパテックフィリップの下位ランクに位置すると考えるべきでしょう。
ロイヤルオークやノーチラスは、中古価格が定価を上回っているので、定価に対する中古価格がブランド力のバロメーターになっているような気もします。
なぜ金額がブレるのか?
― なぜ、こうした時計は売値・買値にブレが生じるのですか?
次のような理由で価格にブレが生じます。
- そもそも手に入らない
- 中古市場の流通量に波がある
- 販売値・鑑定の値段がバラバラ
そもそも手に入らない
エクストラシンもノーチラスも、一般人が新品で手に入れることはまずできません。
どちらの時計も、正規店の店頭に並ぶことがない希少な時計です。
購入できるのは、パテックフィリップやオーデマピゲで、「常連」として認められたロイヤルカスタマーのみ。
さらには、「お金さえあれば買える」のではなく、重要な顧客から順番に販売していくので、予約できたとしても、数ヶ月~数年待ちは普通です。
限られた人というより、選ばれた人しか手に入れることができない時計なのです。
両ブランドの流通量はおそらくロレックスの5%以下でしょう。
存在するだけで価値のある時計なので、中古なのに新品の定価よりも値が張るわけです。
中古市場の流通量に波がある
そんな希少なオーデマとパテックですが、当然ながら流通量によって金額が上下します。
基本的に、時計の価格は流通量が少ないと上がり、流通量が多いと下がるもの。
通常、エクストラシンとノーチラスは、中古市場にほとんど出回っていません。
しかし、非常にまれに、突として出回ることがあるのです。
1~2本のみならず、5~6本出回ることもあります。
そうすると、価格が一時的に下がり、価格にブレが生じるのです。
販売値・鑑定の値段がバラバラ
同じモデルでも、個体によって10~20万円の差がつくこともあります。
古さや時計の出来、不出来が、一つ一つ異なるからです。
たとえば、ベゼルに顔が映るくらいピカピカだからプラス評価、
指があたるからマイナス評価といったように、特徴が価格に反映されます。
ところが、ブランド買取店の中には、個体への評価が的確でない査定員がいたりします。
良質な個体なのに、びっくりするくらい安い値段が付けられていることもあれば、イマイチな個体が超強気の値段で売られていることもあります。
このように正当な金額が付けられていないことによって、ブレが生じることもあるんですね。
ブレる時計を制するには?
― ブレる時計で儲けるには、どうすればいいのでしょうか?
値下がりした時に購入して、値上がりしたら売る!
これ以外にありません。
時計投資はババヌキと一緒で、価格が落ちている時に手元に持っていては負けです。
理屈は株や不動産と同じですね。
― ブレる時計を手に入れるには、何が必要ですか?
ブレる時計を制するには、次のような特徴をすべて兼ね備えている必要があります。
- 個体の良し悪しがわかる=知識と経験が豊富
- 掘り出しモノのお声がかかる=人脈を持っている
- 手札(時計)をたくさん持っている=財力がある
「最近、時計が好きになった!」という人が、ブレる時計で儲けるのはかなり難しいでしょう。
知識と経験が豊富
まず時計に関する経験と知識が必要です。
そのため、ブレる時計を購入できる方は、時計マニア歴が10~20年はほしいところですね。
文字盤が違うとか、表面についている突起の数が違うとか、細かい造形や良し悪しを理解している人でなければ、時計の価値が見分けられません。
価値のわからない人が、相場やウワサに踊らされて購入しても、損することになるでしょう。
他方、知識や経験が豊富な人は、「価値がある」と判断できれば、相場より高い値段で購入することもあります。
こういう方は、「いずれ絶対に高く売れる」ということがわかっているので、思い切った投資ができるのです。
人脈を持っている
ブランド買取店をはじめ、時計を売買するルートをいくつも持っていることも大切です。
そもそも購入ルートがなければ、中古でさえ買うことができません。
大黒屋にも「エクストラシンを買いたい」というお問い合わせがたまにありますが、実際に私がお売りしたのはたったの一人。
中古であっても希少なため、誰にでも売れるわけではないのです。
その方は、ブレる時計で儲けつつも、時計を愛して止まない時計通の方です。
そのお客様には、店頭に並べる前にこちらからお声がけしました。
すると、余計な説明をしなくとも、「よくぞ声をかけてくれた!」と思っていただける。
時計好きの査定員としては、喜んでくださるお客様に渡ることが純粋に嬉しいですから。
財力がある
当然ではありますが、1個300万円以上のパテックやオーデマを購入できる資金力が必要です。
こうした時計を手に入れているのは、40~50代で不動産投資もしているようなお金持ちの方。
ここぞという時に200~300万円をポンと出せる人でなければ、タイミングを逃してしまいますよね。
また、そういうお客様はすでに高級時計をたくさんお持ちです。
売る側としても、その方がお持ちの旧モデルを譲っていただける可能性もあるので、時計をたくさんお持ちのお客様には優先的に情報を流します。
お互いにとって利益になりますからね。
時計投資は「神々の遊び」?
― 値上がりするかわからない時計に100万円以上も投資するには勇気も必要では?
たしかに、普通の人は価格が下がっている時計にはなかなか手を出せません。
ただし、財力、経験と知識がある人は思い切った投資をしていますし、外れも少ないのです。
値が下がった時計に博打を打てる人が、ブレる時計を制することができるといえるでしょうね。
― 売るタイミングも難しそうですね?
はい、手放すタイミングを読むのも難しいです。
たとえば、160万円で買った時計を200万円で売却できれば、40万円の利益です。
普通はラッキーと思いますよね?
しかし、200万円で止まらずに、300万円まで上がり続けることもあるんですよ!
「40万円儲かったから成功した!」と思っていても、本当のマニアは「200万円の時に売ってしまうなんて馬鹿だなぁ・・・」と笑ってみています。
時計マニアも上には上がいるんですよね。
― ブレる時計で成功されている方はたくさんいらっしゃるのですか?
下がったときに買い、上がったら売る。ここぞという時に迷わず200~300万円を投資する。
まさに、言うは易く行うは難しですね。
私が成功していると思える方は、5~6人です。
ちなみに、今回ご紹介したロイヤルオークやノーチラスで動くお金は数百万円程度。
これよりさらに、数千万円の時計を売買する世界もあるんですよ!
そこまで行くとお店を通すことはなく、専門の仲介屋を通して売買が行われているのですが…。
一般市民からすれば「神々の遊び」ですね(笑)。
大黒屋より一言
いかがでしたか?
大黒屋へご相談いただければ、掘り出し物があった時にお声をかけることもできますので、まずは人脈作りの第一歩にぜひお問い合わせいただければと思います。
ロイヤルオークやノーチラスについてもっと知りたい、「ブレる時計」についてもっと知りたいというお客さまは、お気軽に大黒屋へご相談ください!