パテックフィリップ
新作レビュー!時計狂によるパテック・フィリップ アクアノート トラベルタイムの評価
なかなかお目にかかれないパテック・フィリップの新作時計。
旧モデルとの違い・新たな魅力はどこにあるのか。
今回、実際に新作に触れながら解説するのは、大黒屋査定員の瀧正貴。
社内随一の時計オタク、プライベートでも時計屋巡りが日常の瀧が、新作の魅力を語り尽くします。
今回ご紹介する新作時計は、
パテックフィリップ アクアノート トラベルタイム
- アクアノート トラベルタイムはどんな時計ですか?
アクアノートは、ノーチラスと並ぶパテック・フィリップ スポーツウォッチの二大巨頭。
そのアクアノートにトラベルタイムを搭載したモデルが、アクアノート トラベルタイム 5164A-001 です。
トラベルタイムとは、東京とニューヨークなど、タイムゾーンが異なる2つの都市の時刻を同時に表示できる複雑機構。
世界を股にかけるビジネスマンにうってつけの時計です。
パテック・フィリップ(Patek Philippe)
1839年にポーランド人アントニ・パテックとフランチシェック・チャペックによって創業された高級時計メーカー。ヴァシュロン・コンスタンタン、オーデマ・ピゲと並ぶ世界三大高級時計メーカーの一つ。
アクアノート
パテック・フィリップが1997年に発表。パテックの中でも、カジュアルなモデル。
― アクアノート トラベルタイムのランクは?
アクアノート トラベルタイムの定価は412万4600円(2016年10月現在)。
一般人にとっては高いですが、パテックでは安いほうです(笑)。
パテックの時計は数千万円以上が普通です。
なかには数十億円のモデルもあります。
ですから、アクアノート トラベルタイムは、パテック内ではエントリーモデル(初心者向け)と言えるでしょう。
実は時計愛好家からすると、安過ぎるくらいの金額。
それだけの魅力・価値がある時計なんです。
アクアノート トラベルタイムを着けてほしい5つの理由
― アクアノート トラベルタイムの魅力とは?
私が特に注目しているのは、以下の5つの点です。
- トラベルタイム機能で実用性UP
- 高機能だけど薄い
- 手首になじむトロピカルラバー
- マリンスポーツにもOK120m防水
- 徹底された品質管理
魅力1:トラベルタイム機能をプラス!
人気モデルがより実用的に
― これまでのアクアノートに、トラベルタイム機能はなかったのですか?
はい。
これまでのアクアノートは、3つの針とデイト表示(日付表示)のみのシンプルな作りでした。
しかし、トラベルタイムが追加されたことによって、実用性が増します。
異なるタイムゾーンの時刻が一目で分かるのです。
さらに、左右(数字の3と9の下)にある小窓で、現在地と異なるタイムゾーンの昼夜(白が日中、黒が夜)が表示されるんです。
たとえば、タヒチに旅行中に日本の時刻を知りたい時。
この写真の場合、旅行先のタヒチが午前10時(LOCALは白)で、日本が明け方5時(HOMEは黒から白へ)ということがすぐにわかりますね。
異なるタイムゾーンの時刻は、左側にある2つのボタンで調整します。
魅力2:ロレックスの2.5倍のパーツを使用
薄いケースにギュッと詰め込まれた職人技
― パテックの時計は、ロレックスよりも部品数が多いのですか?
今回のアクアノートには、トラベルタイムを搭載した結果、300個以上のパーツが使われています。
たとえばロレックスのデイトジャストだと、おおよそ120個くらいのパーツしか使用されていません。
今回のアクアノートはその2.5倍のパーツが入っているのに、厚さはわずか10.2mm。
非常に薄いのです。
― なぜ薄くできるのでしょうか?
ひとつひとつのパーツを細く、薄くすることで、294個のパーツを納めることに成功しています。
もちろん、製作は非常に緻密な作業で、1000分の1ミリ単位の調整が必要です。
高度な技術を持つ、選ばれたパテックの職人がそれを可能にしています。
それだけの手間がかかっているので、パテックの時計は高額なのです。
魅力3:汗をかいても大丈夫!手首に馴染むトロピカルラバー
時計のために新素材を作ってしまうパテック・フィリップ
― トロピカルラバーとは何ですか?
トロピカルラバーとは、パテックオリジナルのラバー素材です。
このラバーは、通常のゴム素材と違って、汗をかいてもべとつかず、さらりとしていています。
手首にもよく馴染みますし、それでいて軽くて丈夫なんです。
これならスポーツシーンでも気兼ねなく使うことができます。
トロピカルラバーの製造方法は公表されていませんが、恐らくアクアノートのためだけに作られた素材でしょう。
このラバーベルトが気に入ってアクアノートを選ぶ人もいるようです。
魅力4:マリンスポーツにも使用可
ビーチにも連れて行きたい120m防水
― 防水機能もウリの一つなんですか?
通常、パテックのドレスウォッチには、防水機能がありません。
今回のアクアノートは120m防水。
120m防水とは、静止状態であれば水深120mの水圧にも耐える(ケースに水が入り込まない)強度があるということです。
ですから、多少濡れたり、水に潜ったりしても壊れません。
ロレックスには当たり前のように防水機能が付いていますが、パテックでは珍しいですね。
― なぜ、パテックは防水機能を付けないのですか?
パテックが目指しているのは、世界一ステータスが高い時計。
実用的な時計ではなく、工芸品のように家宝として扱ってもらえる時計を作りたいのです。
いかに美しく文字盤に字を描くか、裏側から見てどれだけ品があるか・・・
といったことに重きを置いています。
実用的な時計は、パテックの目指している時計ではないので、必要以上の防水機能はあえてつけないのです。
一方、世界一潜れる時計、壊れない時計を目指しているのがロレックスといえるでしょう。
魅力5:マニュファクチュールだからこその徹底した品質管理!
パテックフィリップは品質管理において世界最高峰
― 今回のアクアノートも、マニュファクチュアで作っているのですか?
すべてが手作業という訳ではありませんが、パーツを磨いたり、微妙な調整をしたりするのは手作業です。
パテック・フィリップは高級時計のなかでも、最も手作業が入っている時計と言って過言はありません。
マニュファクチュール
デザインから部品製造まですべて自社で行うブランドのこと。
― 故障も少ないということですか?
「故障なんてあってはならない」のがパテック・フィリップです。
パテックには独自の規格があり、それをパスした時計だけが、パテックフィリップシールというラベルが刻印されます。
どんな些細なミスすらも許さない、徹底された品質管理の下で作られます。
たとえば、作業の工程で小さなミスがひとつ発生しただけでも、イチから作り直すような途方もないことをやっています。
また、新製品においてはテスト期間だけで1~2年を割いて煮詰める・・・
完成した後も、すべての個体を1200時間に及ぶ検査にかけます。
普通のメーカーはそこまでやりません。
アクアノート トラベルタイムの率直な感想
― ここまではアクアノート トラベルタイムの魅力について見てきました。一方で、マイナス点はありますか?
手に入りにくい点です。
アクアノート トラベルタイムの生産数は数百本くらい。
1000本もないと思います。
パテックの年間生産本数は、すべてのモデルを合わせても5万本しかありません。
製造工程に手作業が多いため、生産数が限られていて、ロレックスやオメガなどに比べると圧倒的に少ないです。
さらに、世界中のファンが奪い合うので、希少になります。
― トラベルタイムが搭載されたことを、パテックファンはどう見ていますか?
トラベルタイムがない、シンプルなアクアノートのほうが好きというファンもいますね。
また、トラベルタイム機能が搭載されたことで、「金額が高くなってしまった」と残念がっているファンもいるようです。
ただし、実用的になったおかげで、パテックユーザーのすそ野はさらに広がった印象ですね。
― 最後に、アクアノート トラベルタイムの総合評価をお願いします!
デザイン | ★★★★★5 | 細部まで洗練されています |
---|---|---|
精度 | ★★★★★5 | 世界最高峰のマニュファクチュール |
装着感 | ★★★★★5 | トロピカルラバーの着け心地は最高! |
コストパフォーマンス | ★1 | 価格も世界最高峰! |
トレンド性 | ★★★★4 | 世界三大高級時計への憧れは永遠 |
今回のアクアノートは、世界を股にかけるビジネスマンから、すでに大注目されています。
そもそもパテックを着けているだけでセレブの証となり、たとえラフな格好をしていても、一流のホテルやレストランで最高のサービスが受けられる可能性があります。
そのパテックを、スポーティに嫌味なく着けられるのが、アクアノート トラベルタイム。
「ハイステイタス」かつ「実用的」、時計のすべての要素が完成していると言えるのではないでしょうか。
大黒屋より一言
世界最高級のパテック・フィリップが、パテックに憧れる人たちのために作ったエントリール。
それが、今回のアクアノート トラベルタイムです。
ちょっと背伸びをしてでもいいから、手に入れたい時計ですね。
アクアノート トラベルタイムを売りたい!買いたい!パテックフィリップの時計をもっと知りたい!というお客様は、是非お気軽に大黒屋にご相談ください。