タグ・ホイヤー
残念なタグホイヤーの新作、カレラキャリバーホイヤー01をレビューしました
今回も僭越ながら、発表されたばかりの新作時計の評価をさせていただきたいと思います。
主に、過去モデルと異なる点、実際に着けてみた感想、マイナス点などなど、目利きの視点で辛口批評!
レビューをするのは、大黒屋社内でも時計好きとして一目置かれる査定員の瀧正貴
プライベートでも時計にお金をつぎ込む瀧が、旬の時計のよしあしを上から目線で語っております!
今回ご紹介する新作時計は、
タグ・ホイヤー カレラ – キャリバー ホイヤー01
- タグ・ホイヤー カレラ – キャリバー ホイヤー01、ズバリどんな時計ですか?
タグ・ホイヤーは、モーターレースにちなんだ時計を作ってきたメーカーです。
そのなかでも、カレラシリーズは、大きめの盤面にクロノグラフ(ストップウォッチ機能)を搭載した人気の時計。
今回登場したカレラ キャリバー ホイヤー01は、近未来風のデザインを取り入れ、盤面がスケルトン仕様になっています。
ただし、私的にはいろいろイチャモンを付けたくなる時計なのですが…。
タグ・ホイヤー(TAG Heuer)
ドイツ系スイス人のエドウアルト・ホイヤーが1860年に設立した老舗時計メーカー。
設立当初からモータースポーツと深い関わりを持ち、クロノグラフの歴史を作ったと言われる。
カレラシリーズ
伝説的なカーレース「カレラ・パン・アメリカーナ・メキシコ」にちなんで作られた時計。
初代のカレラは現在においても傑作との呼び声が高い。
- キャリバー ホイヤー01のランクを教えてください。
キャリバー ホイヤー01の定価は55万円。
価格帯はオメガと同じくらいです。
そこまでお高くはないので、時計初心者でも気軽に手を出せるラインではないでしょうか。
ただし、これまでのタグ・ホイヤーは、カレラシリーズを含め、20~30万円台が主流でした。
それと比べると今回の定価は、大幅にアップしています。
新旧カレラを比較してみよう!
- 旧カレラから変化した点を、もっと詳しく教えてください。
デザイン、素材、ムーブメント、着用感から詳しく見ていきましょう!
デザイン:近未来チックなハイテク系デザインに
- 見た目はどうでしょう?
大きめの盤面にストップウォッチを搭載したデザインは、旧モデルと同じです。
変化したのは盤面。
内部機構が透けて見えるスケルトン仕様になりました。
シンプルで機能性を重視したデザインから、近未来を思わせるハイテク系デザインに変化しましたね。
旧カレラは無駄のないデザインですが、キャリバー ホイヤー01は派手で、ゴテゴテしていますね。
ストップウォッチが見づらいなという印象です。
素材:セラミックやラバーなどの異素材を使用
- 使用素材もこれまでと違いますか?
はい。旧モデルの素材はすべてオールステンレス。
今回のモデルは、ベゼルがセラミック、ベルトにはラバーが使われています。
異素材を組み合わせたことで、メカニックな雰囲気になりました。
こういった異素材を組み合わせたデザインは最近のトレンドで、代表的なものにウブロがあります。
良く似ていますよね?
ムーブメント:自社製ムーブメントからセイコー製ムーブメントに
- タグ・ホイヤーはマニュファクチュールではないのですか?
タグ・ホイヤーは、マニュファクチュールを謳っています。
しかし、実はキャリバー ホイヤー01に使われているムーブメントはセイコー製なのです。
これはちょっとマイナスですね…。
同じムーブメントを使っているセイコーの時計の金額は、20万円程度なので。
セイコー製のムーブメントが劣っているというわけではないですよ!(セイコーは安くても優れた部品を作っています!)
※ マニュファクチュール
デザインから部品製造まですべて自社で行うブランドのこと。
- 自社製ムーブメントを使っていなくても、マニュファクチュールになるのですか?
スイスの法律では、輸入部品の割合が40%以下ならスイスメイド(スイス製)と表記できるそうです。
ですから、一応、マニュファクチュールということができるのでしょう。
着用感:手首が細い人にはちょっと厳しいかも・・・
- 着け心地はどうですか?
背面が平たく、ケースが大きいのに、ベルトとの繋ぎ目がなだらかではないんですよね。
まっすぐな板が腕に着いているという感じで、あまりフィット感がありません。
手首が細い人には厳しいかもしれません。
- ラバーのベルトはどうですか?
このラバーベルトは、同じタグ・ホイヤーのスマートウォッチ(コネクテッド)と同じものなんです。
ちなみにスマートウォッチの定価は20万円ほど。
今回のモデルは、50万円以上する時計ですから、もう一工夫欲しいところですね。
カレラ キャリバー ホイヤー01の率直な感想
- カレラ キャリバーホイヤー01の率直な感想は?
今回のカレラは、デザインといい素材といい、ウブロの二番煎じという印象です。
新しいチャレンジはいいと思いますが、タグ・ホイヤーらしさがないのが残念ですね。
ブランドの独自性に基づいた進化ではなく、他ブランドを模倣した変化は面白みがありません。
私が思うタグ・ホイヤーらしさとは、初代のカレラです。
デザインは奇抜ですが、オリジナリティーがあってタグ・ホイヤーの傑作だと思います。
- なぜ今回のカレラは、ウブロのマネをしてしまったのでしょうか?
客単価を上げるためでしょう。
ウブロは非常に勢いのあるメーカーです。
タグ・ホイヤーはウブロにあやかろうと、コストを抑えつつデザインをマネしてしまいました。
近年、不況により時計業界全体が低迷しています。
タグ・ホイヤーも売上アップのテコ入れを迫られていました。
そのために、ウブロで成功を収めたビバー氏が2015年からタグ・ホイヤーの社長に就任したのです。
ウブロもタグ・ホイヤーも同じLVMH(ルイ・ヴィトンを筆頭に多くのハイブランドを抱える複合企業)に属しています。
結果、ウブロによく似たカレラ キャリバー ホイヤー01が生まれることになってしまいました。
- カレラの新作、どんな人におすすめしますか?
ウブロのような時計が欲しいけど、200万円は出せないという人には良いかもしれません。
しかし、デザインや素材はウブロの模倣。
ムーブメントはセイコー製。
同じ50万円出すなら、私は断然ロレックスをおすすめしたいですね。
後で売るにしても、キャリバー ホイヤー01は半額以下でしか売れません。
ロレックスなら40万円以上の値が付きますからね。
- あらためて、カレラ キャリバー ホイヤー01の総合評価をお願いします。
デザイン | ★1 | ウブロの二番煎じ |
---|---|---|
精度 | ★★★3 | 精度の高いセイコー製のムーブメントを使用 |
装着感 | ★1 | 大きく平面的なので手首に馴染まない |
コストパフォーマンス | ★★★★4 | 定価設定は易しい |
トレンド性 | ★★★★4 | スケルトンの盤面と異素材の組み合わせはトレンド性抜群 |
散々辛口なことを言ってきましたが、それでもタグ・ホイヤーは好きなブランドなんです。
売れるものを作るのではなく、初代カレラのような原点に立ち返ってくれたら・・・そう考える時計愛好家は多いと思います。
もちろん時計業界を取り巻く環境は大変厳しいので、簡単なことではないでしょうけど。
新しいチャレンジを続けるタグ・ホイヤーですから、これからの進化に注目していきたいですね!
大黒屋より一言
カレラ キャリバー ホイヤー01の評価には賛否両論あるようですね。
これからも私たちをあっと驚かせる、革新的な時計を発表していくことでしょう。
カレラ キャリバー ホイヤー01を売りたい、買いたい、タグ・ホイヤーについてもっと知りたいというお客様は、お気軽に大黒屋にご相談ください。