楽器盗難の事例にはどのようなものがあるのでしょうか?
ニュースやソーシャルメディアなどで取り上げられている事例を見ながら、楽器盗難の現状を解説していきたいと思います。
大量に盗まれるケース
まずは学校や公民館、ホールなどの楽器保管庫に侵入され、楽器が大量に盗まれる事件の紹介です。
- 2001年12月〜2月
- 山口県内の公立高校の楽器が連続で盗難に遭い、相次いで70点が盗まれる。犯人は21歳男性(無職)と他二人。被害総額は1,000万円を超え、盗まれた楽器は大阪府や福岡県の中古楽器店で売却されていた。
- 2004年1月21日
- 大阪府立大学のオーケストラ部室から楽器30点が盗まれる。被害総額は約1,200万円。中には600万円相当のバイオリンも含まれていた。楽器は団員の個人所有。鍵が壊された様子はなく、合鍵のようなものを使ったと見られている。
- 2009年4月
- 神奈川県内の高校の吹奏楽部室から、楽器など82点が盗難に遭う。しかし、その2日後、同市内の文化会館敷地から発見される。被害総額約190万円。犯人は、なんと吹奏楽部OBの30代男性。犯行動機は、「吹奏楽部の顧問と折り合いが悪く、困らせてやろうと思ってやった」と供述。
- 2012年9月18日
- 深夜、北海道苫小牧市にある楽器店が侵入され、ギター、ベースなど10本が盗まれる。営業時間中に電話があり、その後、下調べ目的と思われる人物が来店。高級楽器をいろいろと試奏するも、ギターほほとんど弾けない様子だったという。
閉店間際、店内に人がいるかどうかを確認する目的で何度も電話が入り、深夜12時頃に店内に侵入した模様。20代の男3人以上のグループの犯行と思われる。
また、バンドの機材車が狙われるケースも近年増加傾向にあるようです。
損保会社の調査では、2007年以降の車種別盗難件数はハイエースがトップ。
その理由は、近隣諸外国での人気が高いことや、盗難防止装置(イモビライザー)などの装備が遅れていることが挙げられます。
盗まれた車は積載荷物もろとも見つからないケースが多く、バンドの機材車がハイエースが多いことも相まって、犯罪者に目をつけられるのでしょうか。
- 2011年3月
- 楽器、機材もろとも機材車とともに盗まれる事件が発生。被害総額1,000万円相当。数日後、同じ市内のコインランドリーで、積載物全て(車検証まで)無傷で発見された。車両目当てだったと思われる。
- 2011年7月末
- 機材車が月極め駐車場から姿を消す。車、楽器、音響、録音機器など数十点が盗難被害に遭う。(エレキギター、アコースティックギター、ドラムセット、エフェクター各種、アンプ、マイクなど)
- 2012年6月
- 全国ツアー中に機材車が盗難に遭う。機材は発見されるも、車の行方は分からず。
高額楽器が盗まれるケース
数百万円以上の高額楽器が盗まれる事件は、新聞などでも大きな事件として取り上げられることがあります。
盗まれた経路も不明、犯人も捕まらないまま楽器が戻ってこないケースがある一方、思わぬところから見つかることもあります。
- 2007年5月
- レンタルバイオリンの大手企業が静岡県で開催した展示会場で、ガルネリタイプのバイオリン(時価2,000万円相当)が白昼警備の隙を縫って盗み出された。盗難から6日後、同社、東京吉祥寺店より発見された。
- 2012年3月
- 50歳男性のバイオリニストが、奈良市内でコンサートに出演後、楽屋に置いておいたオールドモデルのバイオリンと弓の盗難に遭う。被害総額は1,600万円相当。当日、ホールの中には警備員が配置されていたが、共演者の出入りなど充分なチェックがされていなかったことから、警備の甘さが指摘された事件。
- 2012年9月
- 大阪市内のコインパーキングで駐車中に車上荒らしに遭い、車内に置いていた1883年製のバイオリン、弓、ビオラをケースごと盗まれる。被害総額は約500万円相当。
置き引き、通りすがりに盗まれるケース
世界的チェリストである ヨーヨー・マが、NYのタクシーのトランクに10年以上愛用してきた、ストラディバリウス作のチェロ(時価2億6,250万円)を置き忘れ、大騒ぎになったのは有名な話です。
楽器だけに言えることではありませんが、「うっかり目をはなした隙に盗まれる」というケースは古今東西なくなりません。
- 2004年3月
- 大阪フィルハーモニー交響楽団所属の女性が私鉄電車の中で寝過ごしてしまい、慌てて下車したところ、所有する1,500万円相当のバイオリンを紛失したことに気付き、警察に届け出た。
本人は「ケースは足元に置いていた。忘れたのか、持ち去られたのか分からない。」と話をしている。
- 2006年4月
- フルーティストの女性が食事の間、JR東京駅のコインロッカーに荷物を保管、食事を終えて戻ってみたところ、愛用のフルート2本のみがなくなっているのに気づいた。
1本はプラチナ製、もう1本は14金製で、被害総額1,200万円相当。その4日後、JR川崎駅の鍵のかかっていないコインロッカーから発見され、発見者によって駅に届けられた。
その他、ライブハウスの近辺、レストランやファーストフード店の中、終電の電車の中などで盗難に遭うケースが多いようです。