「今、大黒屋が自信を持って高値をお付けできるのはジャパニーズウイスキーですよ!」
そう語るのは大黒屋のベテラン査定員、藤間友博。
ジャパニーズウイスキーといえば、ニッカウヰスキーの創業者夫婦の生涯を描いたドラマ「マッサン」が記憶に新しいですよね。
実は今、そのジャパニーズウイスキーが、とんでもないプレミア価格で取り引きされているんです!
ジャパニーズウイスキーは国際的な賞を相次いで受賞していて、海外からも熱い視線が注がれているのは業界では有名な話。
そこで今回は、どんなジャパニーズウイスキーが値上がりしているのか、大黒屋の査定員 堀井が、酒買取りのベテラン査定員藤間へ、みっちりとインタビューいたしました!
ジャパニーズウイスキーが世界的に注目されているのですか?
そうなんです。2015年頃からですかね。
近年、サントリーやニッカのウイスキーが国際的な賞を総なめしているため、ジャパニーズウイスキーの金額が跳ね上がっているんですよ。

ジャパニーズウイスキーのシェアのほとんどは、以下の2大メーカーが占めています。
- サントリースピリッツ…山崎・響・白州
- ニッカウヰスキー(アサヒグループ)…竹鶴・余市・宮城峡
これに加えて、ベンチャーウイスキーのイチローズモルト、本坊マルスの駒ヶ岳などのジャパニーズウイスキーも著しく相場が高騰しています。
どれも購入することが難しくなり、とんでもないプレミアム価格が付いている状態です。
そもそも日本ではいつ頃からウイスキーが作られるようになったのですか?
朝ドラ「マッサン」をご覧になった方はご存知だと思いますが、ジャパニーズウイスキーの歴史は明治末期からはじまります。
年代 |
ジャパニーズウイスキーの歴史 |
大きな出来事 |
江戸時代末期 |
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ペリー来航 大政奉還 |
明治時代 末期~ 大正時代 |
- 本格的に日本産のウイスキー造りがスタート
(摂津酒造はウイスキー製造技師として竹鶴政孝をウイスキーの名産地であるスコットランドに派遣)
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日清戦争 日露戦争 第一次世界大戦 |
~1950年代 |
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第二次世界大戦 |
1962年 |
- ニッカウヰスキーと関連の深い朝日酒造がグレーンウイスキーの生産スタート
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日米安保(1960年) 東京オリンピック(1964年) |
1969年 |
- 三楽酒造(現メルシャン)が川崎の工場でグレーンウイスキーの生産をスタート
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人類初の月面着陸 |
1973年 |
- サントリーが関連会社のサングレインでグレーンウイスキーを生産スタート
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オイルショック 日航機ハイジャック |
2007年 |
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戦後はアメリカ軍関係者の評価を得ることで国内需要が増え、様々な銘柄が生み出されました。
モルトウイスキーやグレーンウイスキーなどのウイスキーの種類について教えてください
ウイスキーは原材料・作り方によって、大きく2つの種類にわかれます。
ウイスキーの種類 |
特徴 |
モルトウイスキー |
麦芽を主原料に作るウイスキー |
グレーンウイスキー |
麦芽・トウモロコシ・ライ麦など穀類を原料に作るウイスキー |
一般的な製法で作るものが、モルトウイスキー(シングルモルトウイスキー)。
香りが強く、高級ウイスキーの多くがモルトウイスキーです。
グレーンウイスキーは、モルトウイスキーとブレンドして味わうブレンデッドウイスキーの原料になるものです。
ブレンデッドウイスキーのほうが、シングルモルトウイスキーよりも飲みやすく作られています。
グレーンウイスキーのみで味わうことは、ほぼありません。
ジャパニーズウイスキーが海外から評価されるようになったのはいつ頃ですか?
海外で評価され始めたのは2000年代に入ってからです。
ウイスキーの中でもとくに権威のある賞、ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)で、賞を取るようになりました。
WWAはイギリスのウイスキー専門誌、ウイスキーマガジン(※)が開催している賞で、ブラインドテイスティング(銘柄を知らされずに味や香りなどを評価する審査)で行われます。
竹鶴や山崎がこうした賞の常連となり、一気にジャパニーズウイスキーの名声が高まったのです。

海外のウイスキーコンテストで連続受賞している「山崎」。
(※)ウイスキーマガジン
イギリスのウイスキー専門誌。世界中で愛読されており、日本語版も年に4回発行されている。
海外からの需要はどれくらい増えたのですか?
輸出額は、ここ数年で一気に6倍に跳ね上がっています!

まさかこんなに人気が出るとは、メーカーも予想していなかったのでしょう。
ウイスキーは完成までに時間がかかりますから、需要が高まるとすぐに完売してしまいます。
わずかなジャパニーズウイスキーは奪い合いになり、高騰してしまいました。
ジャパニーズウイスキーの価格はどこまで値上がりしていますか?
著しく高騰しているウイスキーとその価格を銘柄別にみてみましょう。
山崎(サントリースピリッツ 山崎蒸留所)

1984年に発売されたシングルモルトウイスキーです。
山崎蒸溜所2代目マスターブレンダー(※)の佐治敬三が、日本らしい味を追求するため、味・香りの異なった100種類もの原酒をブレンドして生み出しました。
(※)マスターブレンダー
ブレンダーは味覚や嗅覚を駆使して、ウイスキーの品質管理、開発などを行う専門職。
マスターブレンダーは、ブレンダーの最高責任者にあたります。
「山崎12年」「山崎18年」「山崎25年」と各年代で人気があり、今やジャパニーズウイスキーを代表するブランドに成長しました。
ヤフオク落札相場の推移をご覧ください。
山崎25年シングルモルトの価格相場推移 ※現在の希望小売価格160,000円 |
年数 |
ヤフオク落札相場 |
2008~2009年 |
50,000~70,000円 |
2010~2012年 |
60,000~100,000円 |
2013~2014年 |
90,000~150,000円 |
2015~2017年 |
200,000~350,000円 |
2018年 |
350,000~400,000円 |
2019~2020年 |
550,000~700,000円 |
2021~2023年 |
1,000,000~1,100,000円 |
2024年 |
1,150,000~1,300,000円 |
2025年現在 |
1,000,000~1,030,000円 |
17年ほど前(2008年頃)は50,000~70,000円で落札されていましたが、今(2025年)では20倍の1,000,000~1,030,000円ですよ!
定価は160,000円ですから、840,000円以上のプレミアがついていることになります。
アジア圏で人気が高まったために、国内では非常に手に入りにくい商品になってしまいました。
響(サントリースピリッツ)

1989年にサントリーが創業90周年を記念して、これまで培ってきた技術を終結させて作ったブレンデッドウイスキーです。
最高の香りを追求し、ブレンドウイスキーでありながら海外でも賞を受賞しました。
年々人気が高まり、年代物は入手困難な状況が続いています。
特に人気なのが「響30年」で、アジア圏では人気No.1商品とも言われているんです。
響30年の価格相場推移 ※現在の希望小売価格160,000円 |
年数 |
ヤフオク落札相場 |
2008~2012年 |
60,000~80,000円 |
2013~2014年 |
80,000~130,000円 |
2015年 |
130,000~200,000円 |
2016~2018年 |
200,000~250,000円 |
2019~2020年 |
280,000~400,000円 |
2021~2023年 |
500,000~750,000円 |
2024年 |
600,000~700,000円 |
2025年現在 |
505,000~514,000円 |
現在(2025年)の価格は505,000~514,000円!
17年前と比べると、445,000円以上値上がりしていることになります。
ブレンデッドウイスキーですが、高騰が著しいですね。
白州(サントリースピリッツ 白州蒸留所)

南アルプスにある白州蒸留所で、1973年から製造が始まったシングルモルトウイスキー。
白州蒸留所にある原酒の中から、ブレンダーが理想のモルトを選び抜いて作った銘柄です。
白州蒸留所は山の上にあるため、独特の気候・自然によって、個性ある原酒が生み出されています。
こちらも価格の推移を見てみましょう。
白州25年の価格相場推移 ※現在の希望小売価格160,000円 |
年数 |
ヤフオク落札相場 |
2010~2012年 |
50,000~70,000円 |
2013~2014年 |
80,000~100,000円 |
2015~2016年 |
110,000~180,000円 |
2017~2018年 |
180,000~220,000円 |
2019~2020年 |
270,000~370,000円 |
2021~2023年 |
450,000~550,000円 |
2024年 |
470,000~530,000円 |
2025年現在 |
364,000~440,000円 |
2010年頃と比べると、現在(2025年)価格は314,000円以上も高騰していますね!
竹鶴(ニッカウヰスキー)

「ブレンデッドウイスキーのように飲みやすい、ピュアモルトウイスキーを」という消費者ニーズを受けて、試行錯誤の末生まれたシングルモルトウイスキーです。
ベースに宮城峡のモルトを使用、余市のシェリー樽モルトで味付けするというブレンダーのヴァッティング技術により作られています。
さまざまな味わいを作り出すことに成功したウイスキーです。
竹鶴25年の価格相場推移 ※現在の希望小売価格75,600円 |
年数 |
ヤフオク落札相場 |
2014年 |
30,000~45,000円 |
2015年 |
45,000~70,000円 |
2016~2018年 |
70,000~90,000円 |
2019年 |
100,000~130,000円 |
2020年 |
150,000~300,000円 |
2021~2022年 |
200,000~250,000円 |
2023年 |
170,000~200,000円 |
2024年 |
180,000~230,000円 |
2025年現在 |
155,000~181,000円 |
サントリーのウイスキーと比べると、値上がり幅は大きくありません。
しかし、それでも数年前と比べるとプレミアが付いていますね。
余市(ニッカウヰスキー 北海道余市蒸留所)

北海道余市にある蒸留所で作られている、ニッカウヰスキーの代表的な銘柄。
重厚なコクと、複雑で伸びのある香りを併せ持つシングルモルトウイスキーです。
北海道余市蒸留所は、スコットランドの伝統的製法を実現できる国内唯一の蒸留所といわれています。
余市20年の価格相場推移 ※現在は販売しておらず終売品 |
年数 |
ヤフオク落札相場 |
2008~2014年 |
15,000~30,000円 |
2015~2016年 |
30,000~70,000円 |
2017~2018年 |
70,000~130,000円 |
2019~2020年 |
140,000~200,000円 |
2021~2022年 |
200,000~300,000円 |
2023年 |
170,000~200,000円 |
2024年 |
220,000~260,000円 |
2025年現在 |
203,000~249,000円 |
こちらも17年前と比べて188,000円以上値上がりしていることがわかります。
宮城峡(ニッカウヰスキー 仙台宮城峡蒸留所)

宮城県の宮城峡蒸溜所で作られたモルトウイスキー。
気品ある優しい香りと柔らかな口当たりが特徴です。
宮城峡蒸溜所は、杜の都仙台を流れる広瀬川と、その支流である新川川に挟まれた場所にあり、ここはニッカウヰスキー発祥の地でもあります。
宮城峡15年の価格推移 ※現在は販売しておらず終売品 |
年数 |
ヤフオク落札相場 |
2013~2014年 |
5,000~7,000円 |
2015~2016年 |
7,000~30,000円 |
2017~2018年 |
30,000~35,000円 |
2019~2021年 |
40,000~70,000円 |
2022~2023年 |
50,000~70,000円 |
2024年 |
60,000~80,000円 |
2025年現在 |
68,000~70,000円 |
こちらも数年前と比べると、現在(2025年)は10倍ほどの高値が付けられています。
イチローズモルト(ベンチャーウイスキー 秩父蒸留所)
イチローズモルトは、埼玉県秩父市にあるベンチャーウイスキー社が作るウイスキーです。
イチローズモルト 羽生 15年 ファイナルヴィンテージ | イチローズモルト 秩父 10年 ザ・ファースト・テン |
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定価:19,800円 | 定価:19,800円 |
大黒屋の買取参考価格:95,000円 | 大黒屋の買取参考価格:57,000円 |
ベンチャーウイスキー社は、2004年9月に誕生、2007年に蒸留所を作ったばかりの会社です。
製造設備にこだわり、ポッドスチル(蒸留器)は本場スコットランドから取り寄せています。
毎年開催されている「ウイスキー祭り」限定のボトルなどが価格高騰中です。
※2025年4月時点の宅配買取限定価格
富士山麓(キリンシーグラム 富士御殿場蒸溜所)

富士御殿場蒸溜所では、伝統的なポットスチルによって蒸留されるモルトウイスキーを製造しています。
富士山麓シングルモルト18年は、現在(2025年4月)はおよそ20,000円くらいでお買取りが可能です。
マツイピュアモルトウイスキー倉吉(松井酒造合名会社)

モルトウイスキーの本場、スコットランド北部で厳選された原酒と日本国内で蒸留された原酒をヴァッティングし、大山山系の伏流水で仕上げたウイスキーです。
マツイピュアモルトウイスキー倉吉25年は現在(2025年4月)、大黒屋では22,000円くらいでお買取りが可能です。
今はメーカーの生産が追い付かない状態なんですね?
ウイスキーの「10年」「25年」といった年代表記は、それだけの年月を寝かせた原酒を使っているという意味です。
そのため、「人気が出てきたから大量生産しよう!」とはいきません。
寝かせた原酒の在庫がなければ、そのウイスキーを作ることはできないからです。
ですから、運よくこれらのジャパニーズウイスキーをゲットできた人は、本当にラッキーなんですよ。
では、これからもジャパニーズウイスキーは上がり続けるのですか?
当分はこの傾向は続くでしょうね。
国内だけでなく、アジアや中東の富裕層、ウイスキーの本場であるヨーロッパからの需要はまだまだ伸び続けています。
さらに、世界的な日本食ブームがジャパニーズウイスキーの需要に大きく貢献しています。
また、ここまで短期間で値上がるジャパニーズウイスキーは投機的にも魅力です。
世界中の人がコゾって手に入れようとしています。
だからこそ、今が売り時なんですね。
いかがでしたか?
ジャパニーズウイスキーに、本場にも劣らないどころか本場を超えるほどの高値がつくとは驚きでしたね。
今回ご紹介した銘柄以外にも、高値のつくジャパニーズウイスキーはたくさんあります。
あなたのご自宅に眠っているジャパニーズウイスキーはありませんか?
コレクションの処分をされたい方や、飲まないウイスキーをお持ちの方は、ぜひ大黒屋にご相談ください!
少しでも高値で買取できるように、しっかりと査定させていただきます!